研究課題/領域番号 |
23593278
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
佐藤 真由美 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (40375936)
|
研究分担者 |
佐藤 禮子 兵庫医療大学, 看護学部, 教授 (90132240)
|
キーワード | 婦人科がん / リンパ浮腫予防 / セルフマネジメント / 介入プログラム |
研究概要 |
平成24年度は,介入プログラムの構成要素を抽出するため,以下について実施した. 1.婦人科がん治療後リンパ浮腫を発症している患者の身体的及び,心理・社会的問題,リンパ浮腫への思い,医療者への要望調査.【結果】属性:対象10名(子宮体がん6名,子宮頸がん4名),平均年齢59歳(34-75歳).初回から治療期間,平均43.8ヶ月 (4-132ヶ月).10名全員が手術療法,後療法:放射線療法3名,化学療法1名.婦人科がん治療後リンパ浮腫を発症している患者の思いは以下4点に集約.1.身体的思い:1)副作用の辛さ.2)リンパ浮腫の辛さ.2.心理・社会的思い:1)疾患受容困難.2)将来への不安.3)社会生活の困難.3.医療者への思い:1)説明の繰り返し<①時期,頻度:説明されたか覚えていない,内容を忘れた,情報がほしい,何度も言ってほしい.②治療方法:関節リウマチでストッキングが履けない,自分にあった方法を教えてほしい.③専門病院;専門病院が少なく治療が受けられない>.2)金銭負担<①全てが保険適用ではないので辛い,②医療費が高い>. 4.セルフ・マネジメントの遂行:1) シンプトン・マネジメント<①ストッキングを履いている,②マッサージをしている,③動く量を調節している>.2)サイン・マネジメント<①足を見る,②計測をする>.3)ストレス・マネジメント<言葉に出して言う>. 2.婦人科がん治療後リンパ浮腫予防のセルフ・マネジメントを促す教育的介入プログラムの考案:文献調査, 婦人科がん治療後リンパ浮腫を発症している患者へのヒアリング調査,及び調査分析結果を統合,プログラム構成要素を以下3点に集約.1.患者の状況把握と理解・共感,2.患者の認知度,習熟度に応じた説明・指導の継続,3.個別性を重視した指導内容. 3.考案した試案プログラムの臨床適用:研究協力5施設で臨床適用をしている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.婦人科がん治療後リンパ浮腫を発症している患者へのヒアリング調査:2施設において実施した. 2.婦人科がん治療後リンパ浮腫予防セルフ・マネジメントを促す教育的介入プログラムの考案:昨年度実施した文献調査及び,ヒアリング調査を参考にプログラム構成要素を3点に集約し, プログラムを考案した.考案プログラムの介入理論は,認知行動療法及び,セルフ・マネジメント・モデルを参考としている. 3.考案した 婦人科がん治療後リンパ浮腫予防の教育的介入プログラム試案の臨床適用:研究協力を得た5施設において,無作為化比較試験を実施している.当初の予定では平成25年から開始する予定であったが,構成要素抽出及び,プログラム考案が順調に進んだため、計画を前倒し,24年度後期から実施している.5月現在42症例において実施している.全対象者は120例を予定している.入院期間が短縮され,在宅での患者支援体制の構築が必要とざれる.そこで本プログラムでは,退院後体調が安定するまでの治療後6か月間,月に1回電話訪問を行うことで,ストレス・マネジメント,自己効力感の維持,向上,異常の早期発見,早期治療を目指す.他疾患ではあるが,セルフ・マネジメント力向上目的でメールを用いた先行研究報告はあるが,電話を用いることでより患者の状況把握がしやすく,認知度,習熟度に応じ個別性の高い指導が可能になると考える.また,対象者からは電話訪問日以外にも度々相談の電話が来ている. 4.研究成果の報告:文献調査及び,ヒアリング調査の結果は,所属するがん関連学会およびリンパ関連学会でそれぞれ発表をした.
|
今後の研究の推進方策 |
1.考案した婦人科がん治療後リンパ浮腫予防のセルフ・マネジメントを促す教育的介入試案プログラムの臨床適用:今後も臨床適用を継続実施し,対象者数を増やすことを予定している.対象者数は120名を予定している. 2.考案した婦人科がん治療後リンパ浮腫予防のセルフ・マネジメントを促す教育的介入試案プログラムの評価:1)アウトカム:以下の2項目とする.(1)リンパ浮腫率:縦断評価(1cm以上増加で浮腫ありとする),(2)セルフ・マネジメント得点(スタンフォード大学で開発した尺度を1部改定した質問紙調査):縦断的評価をする.2)評価時期:以下の4時期とする.(1)退院前(手術後5-7目),(2)手術後6ヶ月,(3)手術後1年,(4)手術後2年とする.3)分析方法:(1)については,x2検定,(2)については,対応のあるt検定を用いて分析する. 3.考案した婦人科がん治療後リンパ浮腫予防のセルフ・マネジメントを促す教育的介入プログラムの精錬:臨床適用結果を基にプログラム内容を精錬し,よりよいプログラムとする. 婦人科がん治療後リンパ浮腫の八使用率は約25%程度といわれている.真性の浮腫は手術後数か月後に出現するとの報告されていることから,治療後長期間にわたり調査を継続実施する必要がある.当初の予定では平成25年度で研究を完遂させる予定であったが,今後も引き続き調査を続行し,プログラム効果の検証をしていくことを計画している.本課題による助成金交付期間は25年度が最終年度であることから,26年度以降の研究遂行のために,助成金交付申請を計画している. 4.研究成果の公表:国内外がん関連の学会,リンパ関連の学会,研究教育関連の学会において研究成果の発表を予定している.
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画は以下のとおりである。 1.データ収集に関する費用:データ収集者の人件費、交通費、切手等の通信費、謝礼のための図書カード購入費、配布資料等の印刷費、計測で使用するメジャーの購入等。 2.データ分析に関する費用:データ入力依頼費、通信費等。 3.結果の公表に関する費用:学会参加に関する費用(参加費、交通費、宿泊費、ポスター印刷費等)。 4.その他:事務作業担当者の人件費、事務用品の購入、図書購入等。 上記費用についての使用を計画している。
|