わが国の医療機関(特に小児看護領域)、並びに子どもの意思決定に関する関係規定、法的環境について分析し、2015年世界医事法学会においてその成果を報告した。権利としての「子どもの意思決定」の起源は、国連の権利条約にあった。しかし、同概念は規範的概念に位置づけられており、一般的に明確な行動規定や実効性は無かった。 2006年に制定された「がん対策基本法」の第2期がん対策推進基本計画(2012年)を受け、2013年小児がん拠点病院が全国に15病院指定されるに至った。諸外国ではすでに調査、研究、具体的な支援など、様々な対応が勧められているが、わが国はこの政策決定より、小児がん患者に対する具体的な長期的支援体制が整えられつつある黎明期にある。 本研究で先に行った「子どもの意思決定」概念分析では、医療における「子どもの意思決定」は、先行要件としての「子どもの成長発達状況」「健康問題状況」「保護者の子ども観、育児環境」と医療提供者の「アドボカシー)」並びに「医療環境」に関連しており、意思決定の結果として「自己実現」「自律性」「セルフケア行動」が導き出された。「子どもの意思決定」という概念を解明していくことは、小児看護の実践において、子どもの自律性や子どものセルフケア能力を促進する看護スキルの構築に有用であると考えた。したがって、意思決定に必要な情報ニーズ、疾病について理解するための情報ニーズを調査によって明らかにすることが、今後の課題と考えられる。
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