研究実績の概要 |
調査により以下の内容を明確化できた。 1.母親には,基本的な情報,療育の具体的な情報/助言,学校との連携の具体的情報/助言,身近な情報,自分に当てはまる具体的な情報が得られることが重要であり,ピアサポートが有用だった。家族・親戚の理解,学校の子供の特徴を理解し適切な対応,保育園や学校の次につながる支援が大切であり,他の患児の母親,学校教諭,保育士,幼稚園教諭,病院の情報が有用であった。言いたいことを言える,考えや気持ちを受け止めてもらえる,支持的なかかわり,正しい情報や助言を行う存在が母親には重要であった。 2.学校に子供に合った対応をしてもらえない,家族・親戚から子供/親の状況を理解・協力してもらえない,専門家がいる病院や保健所,児童相談所などの情報/説明が不十分なことが母親にネガティブに作用していた。さらに,家族・親戚に言動を否定/非難される,面識のある母親を遠い存在に感じる,子供の状態がよくない,先の心配があることが母親の情緒面にネガティブに作用していた。 3.母親の不安が高く子供への非難が強い事例には,母親に対して子供のよい点を示し安心させたり,カウンセリング的かかわりが,父親の子供への非難が強い事例には,父親からの叱責を減少させる働きかけが有効であった。愛着への応答性が低い事例には,子供に対する対応の仕方を具体的に教示するペアレントトレーニングが有効であることなど,親の不安やかかわりの特徴,子供の障害の特徴を把握したかかわりが重要であることを明らかにできた。 4.発達障害を持つ子供の母親がペアレントトレーニングを受けることにより,親子とも自信を得た,親子の信頼関係ができた,親子とも気持ちが楽になった,家族で過ごす時間が変化した,家族でほめ合うようになった,きょうだいの行動が変化した,父親の行動が変化した,夫婦関係が変化したの8つの効果があることを明らかにした。
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