研究課題/領域番号 |
23593290
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
坂口 けさみ 信州大学, 医学部, 教授 (20215619)
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研究分担者 |
芳賀 亜紀子 信州大学, 医学部, 講師 (10436892)
徳武 千足 信州大学, 医学部, 助教 (00464090)
近藤 里栄 信州大学, 医学部, 助教 (10551385)
市川 元基 信州大学, 医学部, 教授 (60223088)
金井 誠 信州大学, 医学部, 教授 (60214425)
大平 雅美 信州大学, 医学部, 教授 (50262738)
島田 三惠子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40262802)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 父親 / 母親 / 育児支援 |
研究概要 |
現在、我が国では少子化が大きな課題となっている。その背景には子どもを育てる女性への家事・育児負担が大きい上、勤労女性の場合には仕事と家庭生活との両立の難しいことが上げられている。そこで本年度は、父親の育児参加を目指して、父親および母親の家事・育児行動の実態と育児意識並びに父親の育児参加を進める上で重要な父親意識を高める要因について検討した。対象は、保育園に通園する子どもを持つ父親241人、母親300人であり、自記式質問紙調査用紙を用いて行った。調査期間は平成23年8月から9月であった。平日・休日ともに父親に比較して母親の家事・育児時間は有意に多いことが明らかになった。しかし80%以上の父親はこれまで以上に家事や育児に関わりたいと考えていたが、父親の育児休業の取得はごくわずかであった。そこで、男女の性役割意識について検討した。その結果、父親・母親ともに、育児は男性より女性の方が適すると考えていることが明らかとなり、父親・母親の子育てに関する意識改革の必要性が示唆された。また父親意識の高い男性ほど、実際に家事や育児に関わっており、そういう父親の妻は、情緒的に安定していることも明らかになった。なお父親および母親が望む育児支援としては、育児休業中の賃金の充実が最も多く、次いで、育児休業が義務化されること、勤務時間の短縮など、柔軟な勤務体制が上げられた。以上のことから、父親の育児参加を進めることが、父親意識を高めることにつながり、それが夫婦の関係をスムーズにしていくものと推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は、乳幼児を養育する父親および母親を対象として、家事や育児に関する実態、育児休業取得の状況、父親として成長していくための要因と、父親らしさを備えた男性の妻や家族等への影響について検討することであった。調査を実施し、ほぼ計画通り進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の調査では、父親および母親それぞれに焦点を当て解析を進めた。しかし夫婦の考え方にはパターンがあるといわれており、夫婦の意識構造に基づいた検討は不十分であった。そこで今後は、夫婦間のデータを新たに集積し、データ数を増やすとともに、夫婦を1組の対とした検討を進める。また、今回の結果にも表れているように、父親らしく成長するためには、父親の育児参加が何よりも重要であることから、今後は、父親の育児参加を具体的にどのように進めるかに焦点を当て、全国各地における市町村あるいは企業、NPOなど、父親への育児参加に関する情報収集を行い、父親の育児支援を進めるためのプログラム作成の資料収集を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度における予算配分額は100万円であり、その内訳は以下の通り。これまでの研究成果の発表や報告に関する宿泊や交通費に関して20万円。分析に必要な解析ソフト(SPSS)の購入として30万円。父親への育児支援に関して、webによる国内外のデータ収集および独自の取り組みをしている市町村等へ出かけ、取り組みの実際を知るための交通費や謝金として30万円。プログラムの実際を撮影するためのビデオ器機の購入代として20万円を予定。また、当初計画で見込んだよりも調査が安価にて完了したため、次年度使用額が生じた。これについては、関係する書籍や消耗品購入代として使用する。
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