研究課題/領域番号 |
23593290
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
坂口 けさみ 信州大学, 医学部, 教授 (20215619)
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研究分担者 |
芳賀 亜紀子 信州大学, 医学部, 講師 (10436892)
徳武 千足 信州大学, 医学部, 助教 (00464090)
近藤 里栄 信州大学, 医学部, 助教 (10551385)
市川 元基 信州大学, 医学部, 教授 (60223088)
金井 誠 信州大学, 医学部, 教授 (60214425)
大平 雅美 信州大学, 医学部, 教授 (50262738)
島田 三惠子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40262802)
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キーワード | 父親 / 母親 / 育児支援 |
研究概要 |
現在わが国では少子化が大きな課題となっている。その背景には子どもを育てる女性への家事・育児負担が大きい上、勤労女性の場合には仕事と家庭生活との両立が難しいことが上げられる。そこで父親の育児参加を目指して、昨年に引き続き父親及び母親の育児・家事行動の実態と育児意識並びに父親の育児参加を進める上で重要な父親意識を高める要因についてさらにデータを集積し、育児・家事行動と意識の関連性について夫婦ペアでの解析を試みた。対象は就学前の子どもを持つ夫婦317組である。平日・休日ともに父親に比較して母親の家事・育児時間は有意に多かった。そこで育児の楽しさや大変さについてみたところ、育児が楽しくないと感じる夫婦は全体で5%に認められ、母親が楽しくないと感じているとその父親も楽しくないと感じていた。また育児を大変と感じる者は全体で約80%に認められたが、育児を大変だと捉える思いには夫婦間で差があり、母親が大変だと感じていても父親はそうは感じていなかった。さらに父親が母親に対して情緒的に支援していると、その母親も父親から情緒的支援を受けていると有意に強く感じており、母親意識も有意に高くなっていた。一方で、母親の父親に対する情緒的支援行動は、父親の父性意識を高め、家事育児行動にも強く関係していた。このように、家事や育児に対する意識や行動は、夫婦間で関連性ある項目が多いことが明らかとなった。 本年度はさらにわが国の自治体における父親支援に関するWEB情報について検索した。対象は県庁所在地を中心とした約100市である。検索内容は育児に関する母親及び父親への支援についてどの程度WEB上に示されているか、特に父親支援に関して独自の取り組みをしている市と内容についてである。大半が母親支援のみであり、父親支援に関する記載は少なかった。なおほとんどに共通した取り組みは妊娠中の両親学級への参加であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校就学前の子どもを養育する父親および母親を対象として、家事や育児に対する実態やその思いについて300組以上の夫婦ペアでの解析を試みると同時に、父親および母親に対するWEB上での情報検索を行った。各自治体での取り組みには予想通り差があったが、興味深い情報も何点か得られた。このことより、ほぼ計画通りに進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成23年度から24年度において解析した夫婦間のアンケート調査結果、並びに各自治体での父親支援に関する取り組みに基づき、父親の育児支援を進めるためのプログラム作成とその評価方法について検討を進める。具体的には、これまでの調査結果に加えて、父親支援を行っているNPOにも目を向け、WEB情報の収集を進めるとともに、父親への育児参加に関して見学を通した情報収集を行う。これらの情報を持ち寄り、研究者間での検討会を開催し、父親の育児支援を進めるためのプログラム作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度における予算配分額は80万円であり、その内訳は以下の通り。これまでの研究成果の発表や報告に関する宿泊や交通費に対して約30万。独自の取り組みを実施している施設に出かけ、取り組みの実際を見学するための交通費や謝金として30万。プログラム作成に関するコンピュータと関係ソフトの購入として20万を計上する。また当初計画で見込んだよりも調査等が安価で完了したため、次年度使用額が生じた。これについては関係する書籍や消耗品代として使用する。
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