研究課題/領域番号 |
23593295
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
渡邊 香織 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (30281273)
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研究分担者 |
齋藤 いずみ 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10195977)
西海 ひとみ 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (30379458)
戸田 まどか 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (90388695)
岩崎 三佳 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (70584176)
渡辺 完児 武庫川女子大学, スポーツ健康科学部, 教授 (00269854)
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キーワード | 身体活動量 / 妊娠 / 分娩 / 教育プログラム |
研究概要 |
【目的】今年度は、妊婦の身体活動量の実証的データの収集と、妊娠経過・分娩経過との関連性を検証することを目的とした。 【対象と方法】対象は正常経過の初産婦23名である。測定項目は、妊娠期のライフコーダの継続的な装着による身体活動量(歩数、運動強度)、生化学的指標(血糖値、HbA1c、総コレステロール、中性脂肪、HDL、LDL)、心理的ストレス指標(POMS、GHQ)、分娩所用時間とした。 【結果と考察】妊娠8~12週より開始し、平均装着期間は134.1日、平均歩数は7037.4歩であり、妊娠初期・中期・末期の平均歩数に差を認めなかった。就労妊婦が未就労妊婦よりも初期、中期の平均歩数が有意に多いが(p<0.05)、末期では産休取得後より就労による差を認めず、就労妊婦では妊娠中期の平日の歩数が休日よりも有意に多かった(p<0.05)。妊娠末期の運動強度では、微小運動(439.4分)が最も多く、歩行運動(43.1分)、速歩運動(18.0分)、強い運動(1.7分)と有意差は認めないが妊娠初期・中期よりも減少していることから、妊娠週数の進行に従って減少傾向にある可能性が示唆された。歩数と血清脂質との相関は、妊娠初期では歩数、速歩運動、強い運動と中性脂肪にはそれぞれ有意な相関を認め(rs=-0.50, -0.48, -0.45, p<0.05)、末期では強い運動とLDLに負の相関を認めた(rs=-0.53, p<0.05)。中期以降は有意ではないが速歩運動以上の運動強度と血糖値に負の相関を認めた。POMS・GHQと歩数、運動強度との相関は認めなかった。分娩所要時間と体重増加量の相関を認め(rs=0.50,p<0.01)、有意ではないが歩数、速歩運動との負の相関を認めた。これらのことから、歩数と速歩運動以上の運動強度が、分娩所要時間、血清脂質、血糖値に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠期間の継続的な身体活動量の実証的データを収集するための測定項目や実施スケジュールなどに関して、研究の進行状況に大きな問題は生じていない。 平成23年度では研究対象者数が予定数を下回っていたため、対象者の確保のために、平成24年度中に新たに2施設を追加して、合計3施設でデータ収集を実施し、ほぼ予定数に到達している。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠期の身体活動量の実証的データに関して精度を高め、身体活動プログラムを構築するために下記のデータを収集していく。 日常生活動作の中での速歩、階段の昇降、掃除などの活動量について条件を一定に整えた環境下でデータ収集を行う。 対象者の特性を検証するために、対照群への質問紙調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。また、唾液によるストレス検査費用については全検体を一括して分析するため、研究費執行が次年度となっている。 対象施設数の増加に伴う研究補助員の雇用、及びデータ収集のための交通費 身体活動量測定に必要な物品の紛失、破損に伴う補充、ストレス測定にかかる検査、さらに昨年度から引き続いて必要となる費用 今年度得られた成果を学会などで公表するためにかかる費用
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