研究課題
平成27年度においては、前年度に発表予定であった調査結果を、The ICM Asia Pacific Regional Conference 2015および第34回日本思春期学会で報告した。【目的】本研究の目的は、子宮がん検診受診およびHPVワクチンへの理解をめざし,思春期学生のセクシュアル・ヘルスに関わる問題(月経,性感染症,妊娠など)での受診行動影響要因の一つである『親』から子どもへ有効な情報が伝達されるための効果的なアプローチを検討することである。【方法】私立女子中・高等学校の保護者504名(介入群32名、非介入群472名)を対象に、講演60分の介入を加えた無記名自記式質問紙調査を行い、介入群は事前・直後・2ヵ月後の3回、非介入群は事前・2ヵ月後の2回実施した。調査内容は子宮がん検診・HPVワクチン接種に関する項目である。【結果】検診知識得点とワクチン知識得点については、介入群が非介入群より得点が向上し、2ヵ月後も高い得点を保った。HPVワクチンを取り巻く状況把握については、介入群が非介入群より「WHOの安全声明」「女性のがん関連学会のワクチン推奨再開請求」の認知率が向上し、2ヵ月後も高い認知率を保った。子どもとの会話においては、介入群が非介入群より「子宮がん検診」「HPVワクチン接種」ともに「よく話した・まあまあ話した」割合が高かった。しかし、HPVワクチンのメリット・デメリット、情報の満足度、介入後の接種率については、介入群と非介入群との間で有意な介入効果は見られなかった。自由記述分析では「副作用に対する意見」が介入群・非介入群ともに最も多かった。【考察】介入効果として、知識の向上や子どもへのアプローチの増加は認められたが、情報の満足度に変化はなくHPVワクチン接種率の向上は認められなかった。HPVワクチン接種の副作用に関する保護者の抵抗感は強く、現状では子宮がん検診の推奨を一層高める必要性が示唆された。
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思春期学
巻: 34(1) ページ: 122-123