研究課題
更年期女性の健康維持改善プログラムの開発と更年期女性の健康支援システムの構築を目的として、更年期女性の健康状態の把握することにした。これまでの研究により、更年期女性の健康習慣のうち、特に、睡眠、運動、ストレスは更年期症状に影響することを明らかにしているが(千場,2009)、特に、更年期女性の不眠は健康問題として、またQOLの低下を招く原因としても注目すべき症状である。更年期女性のストレスと睡眠状態が自律神経機能に与える影響について客観的指標を用いて評価した研究はほとんどなく、調査することとした。倫理委員会の許可後、前年度は更年期女性を対象に調査した。本年度は20代女性を調査し、前年度データと比較した。調査内容は、米国A.M.I社製アクティグラフを5日以上装着後、解析ソフトAW2により変数を算出した。身体的特徴(月経・妊娠・出産歴、既往・現病・治療歴等)、不安・うつ尺度(HADS)、簡略更年期指数(SMI)、健康習慣(ブレスローの健康習慣)等について質問紙調査した。その結果、対象の更年期女性の平均年齢は48.9±3.0(Mean±SD)、20歳代女性は22.7±2.5だった。HADSによる不安・抑うつ平均点、SMI、健康習慣のいずれにも、更年期女性と20歳代女性の両群間に差は見られなかった。更年期女性と20歳代女性の睡眠データを比較すると、更年期女性ではActivity Mean(平均身体活動数)の増加、Wake Minutes (全覚醒時間)の延長、Sleep Minutes(全睡眠時間)の短縮、%Sleep(測定時間帯に占める全睡眠時間の割合)の低下を認めた(p<0.05)。本調査では、健康習慣の善し悪しが睡眠状態に影響を及ぼすことが明らかになった(p<0.05)。更年期女性の睡眠の質の低下が示され、更年期女性の睡眠状態改善には健康習慣の改善が必要であることが示唆された。
3: やや遅れている
平成24年10月1日より大学を異動し、異動手続き、業務量の増大による実質的な時間の確保困難、フィールドの環境の変化にともなうフィールド確保が困難な状況となり計画より遅れている。今後、研究が計画的に進められるよう研究環境については現在調整中である。
H23,24年度に実施中のアクティグラフを用いた更年期女性の睡眠と自律神経機能評価に関する調査は継続実施予定でああり、症例数を増やし、結果を充実させていく予定である。しかし、当初予定していたアンケートやインタビュー調査は、フィールド確保が困難で遅れていたが、本年度、調整後実施予定である。
物品費;アクティグラフ2台(55万円),調査用消耗品[記録用紙,検査チップ,他](15万円)旅費;成果発表旅費(50万円)人件費;インタビュー調査協力者謝金・交通費(20万円),睡眠調査協力謝金・交通費(20万円),調査補助謝金(20万円)その他;調査用紙印刷(10万円),成果物印刷(10万円),英文校正・翻訳(10万円),郵送・通信費(10万円)
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
更年期と加齢のヘルスケア
巻: 11 ページ: 40-47
巻: 11 ページ: 90-94
Kobe J. Med. SCI.,
巻: 58 ページ: 99-109