研究実績の概要 |
更年期女性の健康予防・維持・改善・増進を目標に、健康支援システムの構築を目的とした調査を計画実施した。特に、更年期女性の睡眠の質と自律神経の関係性について注目して調査し、昨年に引き続き検討を深めた。【調査方法】1.質問紙調査:対象の背景(妊娠・出産歴、既往歴、現病歴、家族背景等)、不安・うつ尺度(HADS)、簡略更年期指数(SMI)、ピッバーグ睡眠質問票(PSQI)、ブレスローの健康習慣、眠気尺度(JESS)等2.睡眠調査:自己記入式睡眠日誌とアクティグラフによる客観的睡眠データを収集3.自律神経機能調査:サーモセンサーによる深部体温の測定、自動血圧計による自己測定、睡眠及び自律神経機能の調査は連日5日以上のデータを解析した。【結果】一般的な更年期女性26名を解析対象とした。SMIは15名(57.7%)、JESSは7名(26.9%)、PSQIは9名(34.6%)、HADS(不安)は8名(30.8%)、HADS(うつ)は5名(19.2%)と健康問題を抱えていた。睡眠に関する分析では、客観的睡眠時間と主観的睡眠時間は相関を示し(r=-0.633,p<0.01)、睡眠の実際と自覚はほぼ一致していた。また、客観的睡眠時間と自律神経機能の関係においては、全睡眠時間及び、睡眠の割合において足先の体温と相関関係がみられた(r=-0.51,p<0.01)。また、主観的睡眠にもっとも影響する要因はSMIであった(R2=0.37,p<0.01)。【まとめ】不眠を自覚する更年期女性は3割以上であり、睡眠状況を改善することは更年期症状の軽減につながることが示唆される。特に、睡眠の質、入眠時間、睡眠時間の改善は重要な項目であり、個々に応じた睡眠改善支援策が必要である。今後は更年期女性及びその家族の健康状態の改善に向け、健康支援者のニーズに応じた支援対策について研究を継続する予定である。
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