研究課題/領域番号 |
23593304
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
宗村 弥生 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (10366370)
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研究分担者 |
中村 由美子 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60198249)
小川 純子 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (30344972)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 心臓カテーテル検査 / 小児 / 看護 / ガイドライン開発 / 安全・安楽 / 安静 |
研究概要 |
小児循環器学会交流セミナーで、当研究グループの紹介をし、臨床看護師、医師たちと、小児の心臓カテーテル検査における安静の認識について討議した。この交流セミナーを通して、当研究グループが認識されガイドライン開発の普及のために意義があったと思われる。また、討議により、現在の小児循環器看護における安静の定義の曖昧さが明確となり、ガイドライン作成にあたり課題が見えた。 現在、小児の心臓カテーテル検査後の看護の基準はない。そのため、これまで行ってきた交流セミナーをまとめ、臨床看護師の経験知をエビデンスとする準備をした。また、先行研究の文献検討、小児循環器学会の発表抄録を検討し、エビデンスとなりうる研究の整理をした。この結果は、24年度の小児循環器学会で発表する予定である。 小児心臓カテーテル検査に携わっている臨床看護師にグループインタビューを3グループ行った。この結果は現在分析中であるが、看護師がどのように安静を考え、子どもが安楽なように看護を行っているか、他施設の看護師の実践を聞いてどのように思うかなど実態がわかり、ガイドラインの重要な結果となった。また、インタビュー協力者にとっても、他施設の看護師と討議することで新たな看護の方法のヒントとなったり、日ごろの看護行為が言語化することで意味づけられる機会となり、看護の動機づけにつながったと思われる。 患児と家族へのインタビューを行った。これは、ガイドラインは当事者と家族の目線が必要であることから着手した調査であるが、医療者とは違った視点で体験が述べられておりこれもガイドラインの重要なデータとなりうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)医療者、家族への調査 医療者には、看護師のグループインタビューを予定通り3グループ行い分析中である。グループインタビューにより、討議が進み内容豊富なデータを得ることができた。家族への調査は、当初は家族のみの予定であったが、当事者である子どもの体験を子ども自身から聴取することが当事者視線のガイドライン開発に必要であることから、患児への調査も追加した。倫理的配慮から、患児の年齢(言語表現が可能であること)、初回カテーテル検査や侵襲のある治療を含む検査でないことを条件にしたところ、該当者が思うように入院しなかった。また対象施設の倫理審査通過に時間がかかり、現在3組の家族と子どものインタビューが終わったところである。目標人数は15組であるため24年度も引き続き調査する。医師への調査は、当初の方法はインタビューであったが、全国のより多くの医師たちの認識や経験知は重要なエビデンスになりうると考え、調査用紙を用いての方法に変更した。そのため対象施設のリクルート、質問用紙の作成に期間を要した。現在、質問用紙の洗練と医師のチェックを受けている段階に入っている。2)ガイドライン案作成 これまでのセミナー(交流セミナー3回)を、ガイドラインに組み込むデータとなるべくまとめた。小児の心臓カテーテル検査に関する先行研究を文献検討した。この結果は24年度の小児循環器学会で発表予定である。また、定期的にグループ会議を行い、国内外のカテーテル検査後の看護について文献を用い勉強会を行った。安静や安楽について言葉の定義や、ガイドラインに盛り込む内容についてメンバーで討議を重ねているところである。案の完成はしてはいないが、予定よりもガイドラインの内容のエビデンスレベルが高まっている。
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今後の研究の推進方策 |
当初、24年度は、ガイドラインの評価としてガイドライン案を用いて実際のカテーテル検査後の子どもの看護の実践を行いそれを評価することとしていた。しかし、これまでの調査や交流セミナーの結果、先行研究、23年度の看護師への調査、患児と家族への調査を通して、この結果を反映させたものがガイドラインの重要なエビデンスとなるた、24年度の医師への調査結果を含めたガイドライン案を引き続き作成することに変更する。よって、24年度はエビデンスとなりうる調査の実施と結果のまとめを通して、他職種と討議しながらガイドライン案を作成することを中心に行う。具体的には・小児循環器学会でガイドライン開発の研究会を行う。他職種の参加を募りガイドラインの内容、使い方など討議する。・医師への調査の実施 配布数は500通を予定し、郵送法にて回収する。結果は量的に分析する。・23年度に調査した看護師へのインタビューの分析、発表準備。・患児と家族へのインタビューを引き続き行う。15組の実施を目指す。アメリカの看護師との討議を予定していたが、上記調査を踏まえてガイドライン案完成となるため今年度は行わない。その分、国内の看護師達と定期的に研究会を開催しガイドラインについて討議する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)医師への調査:質問用紙を500通配布予定である。この調査は郵送にて配布し、それぞれ投函にて返送してもらうため、切手代として約5万円、質問用紙作成の用紙や印刷代に7万円、入力作業に5万円、切手貼付などアルバイトに3万円使用する計画である。2)患児と家族へのインタビュー:データの逐語録作成のために約8万円使用する。3)小児循環器学会での研究会:会議場借用代、設備レンタル料として、ポスター作成費用として 計8万円使用する4)定期的な研究メンバー会議交通費:メンバーが全国の施設に渡っているため会議のための交通費が必要である。60万円使用計画とする。5)会議と分析のための機器:会議方法により(場所変更の場合)記録作成のためにノートパソコンを購入する。医師の調査分析のため、メンバーからの借用ができなかった場合統計用ソフトSPSSを購入する。
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