研究課題/領域番号 |
23593319
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
松本 鈴子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (30229554)
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研究分担者 |
嶋岡 暢希 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (90305813)
岩崎 順子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (90584326)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 出産 / トラウマ体験 / PTG / レジリエンス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は女性の出産体験によるトラウマ後の成長(Post traumatic Growth;PTG)を明らかにし、心理的苦痛の緩和、長期化の予防のための対応策を看護の視点から提案することである。出産に伴ったトラウマ体験後10年経過した女性は、どのように苦痛な体験を乗り越えたのか、そのレジリエンスの過程とそれに作用した要因を明らかにすること、レジリエンス獲得のための看護者の効果的な支援を提案することを研究目標にし、以下の結果を得た。 1.出産に伴ったトラウマ体験後の10年間は、特に子育ての困難、流産、家族関係の破綻などがあった時に出産体験を思い出し、「恐怖」「つらくなる」「自分を責める」「精神的不安定になる」などの感情を抱いていた。そして、それが時間経過ともに、「肯定的未来志向感」などのポジティブな感情をより多く抱くようになっていた。 2.出産に伴う苦痛な体験を乗り越えることに作用した要因は、「過去・現在に苦労体験や忍耐強さがある」「友人・家族との会話による癒しがある」「夫婦・家族の結びつきが強く、信頼できる関係性である」「自ら情報収集し、意味づけや自己の意思決定をし、確信・信念をもつ」「子どもの成長や、子どものためになることへの探索、子どもを育てることに価値を置くなど自分の将来への見通しをもつ」。さらに、「鈍感になる、考えないなどの楽観的感覚をもつ」などであった。 3.看護者は、女性がもつ内なる力や肯定的感覚などを促進する支援が重要である。①早期の看護介入として、出産レビューを重要な看護ケアとして位置づけ、母親の語りの中にトラウマ体験の兆候を発見する。②苦痛な状況に立ち向かい、それを乗り越え、そこから学び、それを変化させる力や苦痛な状況に直面してもそれを糧としてコンピテンスを高め成長する力(レジリエンス)をアセスメントし、支援する必要がある。
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