研究課題/領域番号 |
23593320
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
鳥越 郁代 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (30217591)
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研究分担者 |
吉田 静 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (30453236)
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キーワード | 帝王切開分娩 / 出産選択 / 意思決定 |
研究概要 |
本研究の目的は、帝王切開分娩を経験した女性が、次子の出産選択における意思決定において、看護職者による決定援助を提供し、その介入効果について評価をすることである。研究3年目となる平成25年度は、引き続き研究協力施設の協力を得ながら、看護職者による意思決定支援を実施した。現在まで、32名の研究協力者に対し決定援助プログラムが提供され、31名の産後1か月のインタビューが終了した。統計学的分析には、あと数名の対象者の確保が必要であるが、現在のところ以下のような結果が確認されている。1) 決定に関する葛藤の軽減:決定に関する葛藤スコア(Decisional Conflict Score)の平均値は、2.73から2.03へと有意に低下した(t値:-7.37,p<.0001)。2)知識:知識スコアの平均値は、7.1から9.75へと有意に上昇した(値:6.16,p<.0001)。3)出産結果ならびに出産に対する満足度:出産の結果として、VBAC14名、予定帝王切開分娩14名、緊急帝王切開分娩2名(帝王切開予定)であり、出産満足度の平均値は、8.7点(SD 1.45)/10点であった。分娩様式による満足度の平均は、VBAC:9.14、予定帝王切開分娩:8.29、緊急帝王切開分娩:9.50であった。分娩様式による出産満足度においては、有意な差は認められていない。産後のインタビューにおける看護職者の意思決定支援の評価においては、「助産師に医師に尋ねられないことも気軽に質問することができた」「自分で意思決定できたという実感があり、出産に臨めた」などの感想がきかれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の計画は、平成24年度に引き続き臨床において看護職者による決定援助を遂行することであった。1カ所の研究協力施設を加え、3カ所の研究協力施設で、研究協力者の協力を得ながら、おおむね順調に進めることができた。しかしながら、帝王切開を推進する社会的情勢や病院方針の中で、研究協力者の確保が困難な状況となっており、その確保のために当初予定した計画どおりに進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
統計的分析のために、有効なサンプル数としてあと2~3名の研究協力者を募集したい。しかしその確保が困難であれば、これまで得られたデータの集計作業とともに、量的・質的分析を実施し、看護職職者の意思決定支援の効果と課題について明らかにしていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、前年度に引き続き介入研究(看護職者による意思決定支援)のための研究協力者ならびに研究分担者への謝金として予算を計上していた。今年度は21名(総数32名)の研究協力者の協力を得ることができたが、当初予定した研究協力者数(総数60名)の確保が困難であったこと、それに伴い24年~25年度における研究協力者(母親、臨床の看護職者)の謝金の支出が少なかったことにより、次年度使用額が生じた。また平成25年度に、海外での意思決定支援の取り組み状況を学ぶための研修を計画していたが、業務多忙のため実施できなかったことも次年度使用額が生じた理由である。 平成26年度は、数名の研究協力者の確保を行いながら、これまでの収集したデータの分析を実施する予定である。そのため平成25年度に購入予定であった統計解析のためのソフトを購入する予定である。また平成25年度に実施予定であった海外での臨床における意思決定支援の取り組み状況について学ぶための研修を予定している。
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