研究課題/領域番号 |
23593327
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
武田 要 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (20458409)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 妊婦 / 転倒 / 動作分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、妊娠中、末期における(1)全国区での転倒現状大規模調査(2)動的バランスの定量化と変化(3)動的バランスの動作分析を明らかにすることを目的とする。本研究の意義は、日本の妊娠期の転倒現状の把握と動的バランス能力変化を定量的に把握することで、環境要因も含めた妊婦の日常生活時への転倒予防指導の一助となることと、転倒予防のために強化すべき箇所を提示することが可能となる点である。 平成23年度に予定されていた(1)全国の産科施設50か所に受診している妊娠末期の妊婦500名を対象とした郵送による質問紙を用いた転倒実態調査は、自身の平成24年度転勤先に実験(2)(3)で使用する計測機器が設置されていない状況が明らかとなったため、優先して実験(2)(3)を進めた。このため、平成24年度からスタートすることとした。 妊婦30名を対象とした(2)動的バランスの定量評価では、Active balancerを用いて立位時の最大重心移動計測を妊娠中期、末期の計2回実施した。1回目計測33名終了。2回目計測は5/12日時点で23名計測終了(中途計測棄権者3名)。妊娠末期に前後左右重心移動量が減少傾向であることが示された。 (3)3次元動作解析システムを使用した動的バランスの動作分析については、妊婦8名と非妊婦8名を対象に、前方左右への上肢最大リーチ動作の動作分析を妊娠中期、末期の計2回実施した。非妊婦と比較して妊娠期の両側股関節伸展モーメントは、有意に減少し、両側足関節底屈モーメントは有意に増加していた。上肢をリーチしている側の足関節底屈モーメントは、妊娠が進むにつれて有意に増加していた。これらより、前方へのバランスを保つ際、妊娠が進むにつれて股関節から足関節に依存したバランスを取ることが示唆された。実験(2)(3)の被験者を対象に行った記入式の基礎調査では、転倒歴は1例のみであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度において、アンケート調査の実施、動的バランスの定量評価として重心移動量計測と3次元動作解析を行う予定としていた。現在、動的バランスの重心移動量計測については、体調悪化のため研究を中途辞退した被験者がいたため、当初24年度6月まで計測予定ものが、24年8月までデータ収集が延長することとなった。 3次元動作解析については、計測終了しており、データ解析を行っている状況である。 アンケート調査に関しては、自身の平成24年度転勤先に実験(2)(3)で使用する計測機器が設置されていない状況が明らかとなったため、優先して実験(2)(3)を進めた。このため、平成24年度からスタートすることとした。平成25年度までに200施設にアンケート送付予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度からの研究推進の方策については、転倒調査を優先的に実施する予定である。アンケート送付に関しては、東京、神奈川、大阪、奈良、兵庫、広島、福岡での調査を検討していた。しかし、比較的温暖な神奈川県地区の被験者を対象にした実験(2)(3)での基本調査では転倒経験が1例のみであった。このことから、降雪地帯も調査対象にする必要があり、アンケート送付地区を改めて加える方針である。調査に関しては、150施設を今年度中に送付終了することを目標とする。アンケート送付については分析と並行し、平成25年度まで継続する予定。 実験(2)動的バランスの定量化については、2回目の計測を残り10名を予定しており、8月に計測終了予定である。並行して、分析し、今年度中に助産分野での学会投稿、論文投稿を予定している。 実験(3)動的バランスの動作分析については、計測終了しているため、今年度中に理学療法、助産分野での学会投稿、論文投稿を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験(1)転倒の実態調査のために150施設に質問紙を送付するための切手代138000円(送付120円×150施設、返信用80円×1500名)が必要となる。 加えて、実験(2)の残り10名分の計測において交通費48240円(大阪‐熱海新幹線往復24120円×2回)、謝礼金10名分20000円(2000円×10名)を研究費として予定している。
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