研究課題/領域番号 |
23593327
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
武田 要 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (20458409)
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キーワード | 妊婦 / 転倒 / 動作分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、妊娠中、末期における①全国区での転倒現状大規模調査②動的バランスの定量化と変化③動的バランスの動作分析を明らかにすることを目的とする。本研究の意義は、日本の妊娠期の転倒現状の把握と動的バランス能力変化を定量的に把握することで、環境要因も含めた妊婦の日常生活時への転倒予防指導の一助となることと、転倒予防のために強化すべき箇所を提示することが可能となる点である。 平成23年度は、自身の平成24年度転勤先に実験②③で使用する計測機器が設置されていない状況が明らかとなったため、優先して実験②③を行った。 妊婦30名を対象とした②動的バランスの定量評価では、Active balancerを用いて立位時の最大重心移動計測を妊娠中期、末期の計2回実施した。35名の妊婦が参加し、中途計測棄権者3名により最終被験者は32名となった。妊娠末期では、斜め前方方向を含めた前方方向への重心移動量が有意に減少することが示された。 ③3次元動作解析システムを使用した動的バランスの動作分析については、妊婦8名と非妊婦8名を対象に、前方左右への上肢最大リーチ動作の動作分析を妊娠中期、末期の計2回実施した。非妊婦と比較して妊娠期の両側股関節伸展モーメントは、有意に減少し、両側足関節底屈モーメントは有意に増加していた。上肢をリーチしている側の足関節底屈モーメントは、妊娠が進むにつれて有意に増加していた。これらより、前方へのバランスを保つ際、妊娠が進むにつれて股関節から足関節に依存したバランス戦略を取ることが示唆された。 平成24年度から①全国の産科施設10か所に受診している妊娠末期の妊婦2000名を対象とした郵送による質問紙を用いた転倒実態調査を開始した(5/15現在妊婦1000名分配布、回収率31.5%)。転倒経験者は全体の17%を占め、海外の転倒率とほぼ同様の割合を示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度までに終了した妊娠期の重心移動量計測と3次元動作解析については、予定通り分析作業が終了した。 3次元動作解析については、現在論文として、European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biologyに投稿中である。 妊娠期の重心移動量分析については、平成24年8月までデータ収集が完了し、研究成果として、台湾で行われる2013 AWP-ACPTにてacceptされ、9月に発表予定である。ただし、平成24年度予定されていた論文作成は、平成25年度の作業となった。 アンケート調査に関しては、転倒に影響する降雪等による気候条件を除くため、関東近畿圏の産科、クリニック10施設を配布先とした。目標としていたのべ1000名分の配布が年度内に終了し、H25年度についても残り1000名分を配布予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査に関しては、残り1000名分を昨年度と同様に東京、近畿圏都市部のクリニック、産科に10月までに配布予定としている。分析も同時進行し、今年度中に理学療法、産科系のジャーナル、学会への投稿を行う予定である。 妊娠期の重心移動量分析については、今年度中に原著論文を作成し、和文への投稿を検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験①転倒の実態調査のために宅急便代10500円(1施設100通分のアンケートを10施設に宅急便にて送付)、切手代90000円(返信用90円×1000名分)が必要となる。 加えて、アンケート依頼説明のための交通費144720円(大阪‐東京近郊新幹線往復24120円×6回)の支出を予定している。 研究成果報告のため、雑誌投稿料80000円(理学療法科学40000円、海外雑誌40000円)台湾で行われる2013 AWP-ACPT学会参加費、宿泊費62000円(参加費30000円、宿泊費8000円×4日間)の支出を予定している。
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