研究概要 |
最終年度となる平成25年度では、H24年度から開始した①転倒現状大規模調査を継続して行い、2月末で2000名分のアンケート調査の配布を完了した。アンケート回収率は39%となり、妊娠期での転倒率は、18.7%を示し、妊娠末期において58.7%と、妊娠初期の約8倍の割合を示していた。転倒時間帯は、午後から夜間に最も多かった(60.7%)。転倒動作では、歩行場面が最も多く、続いてしゃがみ動作、立ち上がり動作の順となっていた。 転倒者が日常生活動作時に不安定に感じる運動方向として前方への不安定感が最も多かった(26.7%)。加えて、研究②の研究成果については、9月にWCPT-AWP & ACPT Congress 2013 in Taichung,TaiwanにてPOSTURAL INSTABILITY IN THE THIRD TRIMESTERという題名で発表し、「妊娠期における安定性限界の変化」で人間生活工学に原著として採用された。研究③の研究成果についてはJournal of Women's Health Physical TherapyにてOriginal paperとして投稿審査中である。 研究期間全体として、おおよそ計画的に研究が遂行された。研究②動的バランスの定量評価では、妊娠末期では、斜め前方方向を含めた前方方向への重心移動量が有意に減少することが示された。 研究③3次元動作解析システムを使用した動的バランスの動作分析については、非妊婦と比較して妊娠期の両側股関節伸展モーメントは、有意に減少し、両側足関節底屈モーメントは有意に増加していた。上肢をリーチしている側の足関節底屈モーメントは、妊娠が進むにつれて有意に増加していた。これらより、前方へのバランスを保つ際、妊娠が進むにつれて股関節から足関節に依存したバランス戦略を取ることが示唆された。
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