研究課題/領域番号 |
23593328
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研究機関 | 共立女子短期大学 |
研究代表者 |
加藤 令子 共立女子短期大学, 看護学科, 教授 (70404902)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
2012年度は、幼児後期から中学レベルの児童生徒を対象とするパッケージ開発のため、神奈川県下の1福祉施設で保護者と職員各4人、および、2特別支援学校で、保護者と教員各6人にインタビュー調査を行った。2011年度の茨城県での調査結果と本年の調査結果を基に、研究者4人と茨城県立特別支援学校教員7人で4回の会議を開催して、『災害セルフケアパッケージ‐肢体不自由児用‐』を開発した。パッケージの構成は、肢体不自由児自身の災害の備えへのセルフケア能力を高めるために「幼児・児童生徒の行動目標」を基軸とし、それを支援するための「教職員用支援内容」と「保護者用支援内容」、活用者の説明書である「指導者用手引き」、セルフケア能力をチェックする「子どもの災害セルフケア能力チェックリスト」である。子どもの認知発達レベルを考慮し、幼児後期・小学低学年・小学高学年・中学以上の4段階を開発した。対象とした災害サイクルは、「準備期」「発生時」「避難時」である。 開発したパッケージを、茨城県立特別支援学校3校で約3か月試験活用した。対象者は、児童生徒17人とその保護者および担当教員である。活用方法、効果や課題調査のため、児童生徒3人、保護者4人、教員3人にインタビューを実施した。教員は、パッケージ内容を基に授業や避難訓練を実施していた。保護者は家庭で災害発生時の注意点等を子どもと話していた。活用した効果について子どもは、できないことを教員に依頼できるようになった、避難訓練時にすばやく避難ができた等を述べており、本パッケージ活用の有用性が示された。一方、教員や保護者から、パッケージの目標等がわかり難いという課題が提示された。 パッケージ開発までの調査結果を、2国際学会と4国内学会で10演題発表、高い関心を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度の研究実施計画は4点である。1.パッケージ開発の基礎データを得るためのインタビュー調査。2.幼児後期から中学レベルまでのパッケージ開発。3.開発したパッケージの小学低学年から中学レベルまでの試験的活用と活用状況調査。4.研究内容の学術誌への投稿。 達成度: 1.幼児後期から中学レベルのパッケージ開発のため、神奈川県下の1福祉施設の保護者と職員各4人、2特別支援学校の保護者と教員各6人にインタビュー調査を実施した。調査内容分析結果、肢体不自由児が災害に備えるために必要なセルフケア能力が、幼児後期は8つ、小学低学年から中学レベルは9つ抽出され、計画は順調に進展した。 2.研究者4人と茨城県立特別支援学校教員7人で4回の会議を開催、インタビュー調査から得られた内容を基に、『災害セルフケアパッケージ‐肢体不自由児用‐』を開発した。研究は順調に進展している。 3.開発したパッケージ‐を、茨城県立特別支援学校3校で約3か月間試験活用した。対象者は、児童生徒17人とその保護者、担当教員であった。活用効果等調査のため、児童生徒3人、保護者4人、教員3人にインタビューを実施した。結果、パッケージを基に、小学低学年は授業内でのワークシートやカードを活用した知識確認、高学年はハザードマップ作成や移動能力を高める個別指導、中学は防災グッズの検討等に活用していた。保護者は、災害発生時に家庭内で気をつけること等を子どもと話していた。活用後の子どもの自己評価には、避難訓練時にすばやく避難できたこと、自ら防災ずきんをかぶれたこと等があった。教員は、子どもの行動から子どもの意識の変化を評価していた。計画は順調に進展した。 4.学術誌投稿の準備段階であり、計画はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は最終年度であるため、以下の3点を推進する予定である。 1.開発した『災害セルフケアパッケージ‐肢体不自由児用‐』を全国で活用可能なものとするための、試験的活用依頼と活用効果・課題の調査の実施である。幼児後期用は神奈川県下1福祉施設、小学低学年~中学レベルまでは、神奈川県下の特別支援学校で実施予定である。 2.調査結果を基に、現在の『災害セルフケアパッケージ‐肢体不自由児用‐』を修正し、全国レベルで活用可能なものとなるよう完成させる。神奈川県内での調査結果と茨城県内の特別支援学校での活用状況を基に、研究者と茨城県立特別支援学校3校7人の教員で検討して完成させる。 3.『災害セルフケアパッケージ‐肢体不自由児用‐』の国内での活用を促す。関連する国内学会で発表、また、学術誌へ投稿する。研究代表者の所属する大学のホームぺージに情報を掲載し、『災害セルフケアパッケージ‐肢体不自由児用‐』の公開とダウンロードがインターネット上で可能となるようにする。報告書を作成して、国内の関係部署(文部科学省、各県教育庁、福祉施設、関係団体、医療機関、看護系大学等)へ送付する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度:直接経費111.5万円 【物品費:予算額14万円】データ保管用デスクトップ・関連物品(12万円)、関連書籍の購入(2万円)。 【旅費:予算額10万円】研究協力依頼・データ収集・研究者間会議・研究者と教員との会議のための旅費(10万円)。 【人件費・謝金:予算額10万円】インタビュー協力者への謝礼(2万円)、会議での情報提供者への謝礼(2万円)、学術誌投稿のための和文英訳(6万円)。 【その他:予算額77.5万円】テープ起こし業者委託費(10万円)、報告書印刷費(60万円)、郵送費(7万円)、文具購入費(0.5万円)。
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