研究課題/領域番号 |
23593341
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
蛭田 明子 聖路加看護大学, 看護学部, 助教 (80584440)
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研究分担者 |
太田 尚子 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (50285053)
堀内 成子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (70157056)
實崎 美奈 聖路加看護大学, 看護学部, 助教 (80412667)
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キーワード | 周産期喪失 / グリーフ / 家族 / 夫婦 / 語り / 物語 |
研究概要 |
本研究は、周産期喪失後の夫婦の支援の一助として、当事者である体験者の声を物語として構成することを目的に開始した。当事者である夫婦、ケア提供者、社会一般の人々が夫婦の物語にアクセスできるようにすることで、その体験理解を深めると同時に、ケア提供者に対しては支援のヒントを小冊子にまとめることを目指している。 前年度は、文献検討、及び国内の看護師・助産師が臨床において家族にどのようにケアを提供しているかをヒアリングすることを通して、母親に対するケアには一通りの知識が浸透しつつある一方で、子どもの父親である男性や夫婦の単位でのケアを実践できていない状況や、退院後の家族に対する支援の難しさが明らかとなった。 そこで今年度は、実際に家族や夫婦へのケアを、退院後も継続して提供している臨床家の意見をヒアリングした。そのために、アメリカで開催されているRTSトレーニングに参加し、看護師/助産師の他に、ソーシャルワーカーや心理士、チャプレンといった他職種の人と交流をもった。交流を通して、病院を退院後の家族の支援体制について情報の提供や、病院で家族へのケアに使用しているグッズや配布物等の資料の提供を受けた。また、トレーニングでの学びから、ケアの実践において、ケア提供者が理論的な裏付けをきちんともっていることの重要性を再認識した。その一つとして、喪失後に医療者が提供するケアは、子どもの喪失のストーリーを家族がつくっていく支援をするのだという考えを裏付けるGuided Participationの理論が、本研究を遂行していくうえで柱となると考えた。 以上の活動を通して、物語を構成した後、ケア提供者に夫婦への支援のヒントを小冊子にまとめていく方向性に今年度は具体的な示唆を得た。これによりインタビューガイドを作成し、パイロットスタディとしてプレインタビューを行った。現在インタビューガイドの修正中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は、本研究事業とは別に海外で数か月の研修の機会を頂いた。そのため、インタビューガイドを作成し、パイロットスタディを行うことはできたが、インタビューの開始には至ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
早急にインタビューガイドの修正を行い、インタビューを実施する。インタビューの実施と並行して分析を行う。当初夫婦へのインタビューから物語を構成してまとめることと、夫婦の支援のヒントをまとめることの二つを、本研究では目指していた。研究の計画そのものを現時点で変更することは考えていないが、進行の状況により、後者から優先して進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、年度の中間に研修の機会を頂き国内に不在の期間があったため、インタビューの実施に至らなかった。そのため、インタビューに伴う謝金や交通費、またテープ起こしなどの研究補助者への謝金が発生しなかった。その他、予算よりも小額で済んだ支払い等もあり、結果的に80万円近くが残った。 よって、25年度は合計で180万程度の研究費が使用可能であると見込んでいる。このうち、インタビューに必要な経費として、研究協力者への謝金や交通費、テープ起こしのための研究補助者への謝金等で40万程度、成果物作成のために諸経費を含め合計で40万程度、その他国内外の研究者へのコンサルテーションや研究者との意見交換のための学会等参加費用として90万程度、会議費として10万程度の使用を計画している。
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