【目的】眼底検査のために散瞳している早産児の光環境の影響を明らかにするために、異なる光環境でのストレス反応について非散瞳時と比較し分析する。 【方法】対象は、眼底検査を目的に散瞳している修正週数30週以降の早産児とした。介入群(低照度)と対照群(通常照度)に振り分けた。行動反応を6時間撮影し、state(睡眠-覚醒状態)の変化を分析した。自律神経活動は心電図を用いて、交感神経活動と副交感神経活動の測定を行い、解析ソフトで分析した。看護ケアや処置の有無を観察し、環境音は騒音計で測定した。 【結果】修正週数30週以降の早産児38名を対象に、散瞳時と非散瞳時での反応を比較した。その結果、1)state(睡眠-覚醒状態)は、介入群では1A(深い睡眠)~2A(浅い睡眠)の状態が多くを占め、移行回数が少なく、ストレス反応の出現も最小であった。対照群のstateは1A~3Aであり、移行回数が多く、驚愕、四肢のピクツキなどのストレス反応が見られた。2)対象児はワゴンなどの金属音、重なるアラーム音などの影響を受けていた。防音効果を施した低照度カバーをかけた介入群は、ピクつきなどのストレス反応が少ない傾向を示した。3)早産児の自律神経活動は、stateと関連し、刺激を受けると交感神経活動が上昇し、深い睡眠状態では副交感神経活動が上昇した。4) 唾液クロモグラニンAの分析は唾液量が少なく困難であった。個々で比較では、通常照度下で高値を示し、低照度下で低値を示すケースを確認したが、ばらつきが見られた。 【結論】散瞳している早産児に低照度環境を提供することで、ストレスの軽減につながる可能性が示唆された。早産児のストレスを軽減していくためには光と音の影響を加味した看護介入が必要である。今回用いた心拍変動解析は、自律神経活動を推測することができた。リラックスしているのか否か、対象を理解するためのツールとして看護に活用できるか、今後の研究課題としていきたい。
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