研究課題/領域番号 |
23593345
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
黒野 智子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 准教授 (10267875)
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研究分担者 |
神崎 江利子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 講師 (10269631)
村松 美恵 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (80387505)
室加 千佳 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (40616918)
藤本 栄子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (80199364)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 母乳育児 / 父親 |
研究概要 |
母乳育児が継続されるよう父親が母親をソーシャルサポートするための教育プログラムを開発するために、今回第1段階として生後4か月の第1子を持つ父親の母乳育児に対する認識および母親へのソーシャルサポートと母乳育児の実態を明らかにすることを目的に自記式質問紙による調査をおこなった。 結果、有効回答率62.6%(196名)であった。生後4か月時点での母乳育児の状況は、母乳栄養(人工乳以外の水分補足を含む)50.5%、人工乳使用栄養は49.5%で、母乳育児の知識のうち児にとっての母乳の意義や母乳分泌促進の方法では7割以上の父親が知っていると回答していたが、母乳量確保の評価では2~3割と乏しかった。母乳育児をする妻に対する気持ちは、「できるだけ妻の手助けがしたいと思う」と94.9%が回答していたが、「妻との性的な関係を妨げると思う」21.9%、「無用になったような疎外された感じがする」13.3%、「子どもに妻を取られたような気になる」では7.1%の父親が思うと回答していた。母親へのソーシャルサポートは、7~9割の父親が実施していると回答していた。また、妊娠中に父親が「ぜひ母乳で育てたい」という方針を持っていると生後4か月時点で母乳栄養である割合が有意に高かった(P<0.005)。妊娠中に「ぜひ母乳で育てたい」という方針を持つ父親は、評価的サポートを実施している割合が有意に高かった(P<0.05)。 今回、先行研究では父親を対象とした調査は散見するのみで、生後4か月の父親を対象とした実態調査の意義は大きい。結果から、妊娠中から母乳不足の見分け方の目安など母乳栄養に関する知識の父親への提供等と共に、母親と父親が母乳育児についての方針やソーシャルサポートについての役割期待と役割遂行に関する考えを述べ合い、調整する場を提供する教育的な支援プログラムの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度~H24年度は、研究計画の目標1の父親用質問紙および母親用質問紙の開発と目標2として6組の母親と父親のペアを対象に、(1)妊娠30~36週、(2)生後3~5日、生後2か月時に、父親用質問紙、母親用質問紙を用いた質問紙調査およびインタビュー調査をおこない結果を分析する予定であった。しかし、父親に対して行われた母乳育児に対する認識および母親へのソーシャルサポートの実態と母乳育児の現状に関する先行文献が少なく、そのため今回は母乳栄養が36.8%と減少し人工栄養が30.7%に増加している時期である生後4か月(厚生労働省,2005)の児を持つ父親約200名を対象に、実態調査をおこなった。この結果は教育プログラムの作成に反映することができると考える。また、現在、その結果を加味して、父親および母親用質問紙を開発中である。インタビュー調査はH24年度に実施し分析を行う。 第一段階の目標1および2の分析はH24年度に実施予定であったことから、H24年度に分析までを終える予定であること、生後4か月までの母乳育児に関する父親の実態が明らかになり教育プログラムに活かせることから、おおむね順調に進んでいると考えて良いのではないかと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
【H24年度】目標2の父親および母親を対象に、(1)妊娠30~36週、(2)生後3~5日、(4)生後2か月時に、父親用質問紙、母親用質問紙を用いた質問紙調査およびインタビュー調査をおこない、結果を分析して教育プログラムを作成する予定である。【H25年度】父親の母乳育児の認識と母親へのソーシャルサポートおよび母乳育児の実態調査と、経時的な母乳育児の現状と変化の質問紙およびインタビュー結果を分析し、教育プログラムを開発、実施予定である。【H26年度】教育プログラムを評価し修正予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は、(1)質問紙およびインタビュー調査:逐語録作成のためのテープおこし代、対象者への謝礼、研究者の交通費、会議費に研究費を使用予定。 ※H23年度からの繰越金については、前年度実施できていなかったインタビュー調査の逐語録作成のためのテープおこし代および謝礼、インタビュー先への交通費の増額に使用予定。(2)教育プログラム教材の作成:ビデオカメラ1台、DVD、USB印刷用インク等の文房具代、教材作成のためのビデオ編集ソフトを購入予定。
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