研究課題/領域番号 |
23593350
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
竹村 淳子 大阪医科大学, 看護学部, 准教授 (00594269)
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研究分担者 |
泊 祐子 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (60197910)
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キーワード | 成人移行期 / 肢体不自由児 / 重症心身障害児 / 親の役割 / 健康問題 |
研究概要 |
成人移行期にある肢体不自由児の親の役割を支援するために、初年度から発達段階特有の問題を明らかにし、そこから抽出された課題に沿って研究に取り組んできた。その成果と研究過程の経緯を記す。 平成23年度は、成人移行期を迎える肢体不自由児と家族に関する発達時期特有の問題と支援の現状を明らかにするため文献検討を行った。その結果、肢体不自由児には、学業終了後社会人としての生活を始める時期には、本人や家族の意向と現実とのギャップが大きいことが分かった。特に、重症度の高い重症心身障害児においては、成人移行期に深刻な健康問題が生じ、それが進路計画の変更に深く関与していることも示唆された。そこで、研究対象を重症心身障害児の健康問題に絞り込んで、成人移行期に生じる健康問題への親の対処を追究することにした。 平成24年度は、成人移行期に生じる重症心身障害児の健康問題への親の対処に関する看護支援を考案する手がかりとして、人に備わるレジリエンスをの概念が健康問題のある子どもの家族にどのように適用できるかを検討した。その結果、子どもの重い病状の心配や世話の継続という苦悩を引き受け、時には子供に代わって対処する力がレジリエンスの特徴といえ、問題への心的準備やピアの存在が支援になると考えられた。このことにより、成人移行期に生じる重症心身障害児の健康問題への対処力として、レジリエンスを高める支援の必要性が示唆された。 平成25年度は、成人移行期の重症心身障害に特有の二次障害について、生活の質を脅かす可能性がある治療選択を迫られる親の苦悩と対処について、子どもの治療経験者である親に面接調査を実施した。その結果、子どもにとっての治療のメリットに葛藤しつつ生きるための手段として治療を選択していることが分かった。親が看護支援ととらえたことは、ピアの紹介、治療を決断する時の後押しなどであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の課題としていた、成人移行期の肢体不自由児の問題としては進路選択や世話の継続など多くの問題が抽出された。肢体不自由児という用語は、障害の程度としては広い範囲を示すもので、対象者となる子どもの状況があいまいになる可能性がある。そのようなことから、成人移行期の肢体不自由児にとって深刻な健康問題が生じる重症心身障害児に焦点を絞り、その治療選択を巡る親の役割を研究することができた。実際に治療選択を巡る問題を経験した親に直接面接を実施することができ、分析を進めた結果、看護実践への示唆を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
二次障害が生じた重症心身障害児の親への面接によって、治療選択を巡る苦悩とレジリエンスの発揮のありようがわかり、看護への示唆が示されたので、こうした親への看護を実践している看護師の援助の実際を面接によるデータ収集と分析によって照らし合わせ、二次障害の治療選択プロセスにある重症心身障害児をもつ親への具体的支援を組み立てる。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画していた人件費及び謝金については、データ資料の整理補助者への支払いを予定していたが、テープ起こしの業者に依頼することで支出をおさえる事ができた。 本年度は、研究成果の発表のため、国内で開催される学会(岡山、東京、愛知)とヘルシンキで開催される学会(APNN)、への参加及び旅費に500000円の使用を計画している。また、本年度取り組む看護師への面接調査にかかる通信費、テープ起こし、印刷費、面接地への交通費に150000円を計画している。パソコン等にかかる関連の消耗品、文具、資料収集などに206724円の使用を計画している。
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