研究課題/領域番号 |
23593352
|
研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
酒井 ひろ子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (90434927)
|
研究分担者 |
大橋 一友 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30203897)
|
キーワード | 女性 / 月経周期 / 月経周期関連症状 / 禁煙 / 喫煙 / 抑うつ / 母娘 |
研究概要 |
「研究の目的」は、月経周期ならびに月経周期関連症状が禁煙成果へ及ぼす影響を明らかにすることであった。「研究の実際」は、23年度に本研究を開始し、18歳から25歳までの喫煙女性63名を対象者に、月経周期、排卵の有無、月経関連症状、抑うつレベルを把握した禁煙支援を実施した。禁煙開始日を卵胞期群もしくは黄体期群の禁煙開始日でランダムに振り分け、禁煙開始から、3日後、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に禁煙継続を呼気中CO濃度測定ならびに尿中コチニン検査にて評価した。再煙をエンドポイントとした禁煙開始から1年間のコホート研究を終了した。研究結果は、各群の各時点での再煙の発生率の推定、各群の再煙率の差の検定、相対リスクの推定、禁煙の障害となる可能性がある、抑うつレベル、ニコチン依存度、飲酒習慣の有無など要因の影響力について検討した。「研究の意義」として、女性の禁煙を障害する要因の一つとして月経周期と月経周期関連症状に焦点化した研究成果は、一致した見解を示していない。先行研究は月経のある20~40代の生殖可能な幅広い年齢層を対象としており、長期間の研究成果を追跡した報告がほとんどない。本研究は、青年期前期の若い女性の禁煙達成と禁煙を障害する要因について1年間の禁煙成果で評価しており、女性の喫煙行動の把握、禁煙支援に含むべき留意点に根拠を与える。 第2の「研究目的」である、母と娘を対象とした本調査を実施した、「研究の実際」は思春期女子に対しては、初経、月経周期、月経周期関連症状と月経に影響する要因、受動喫煙の暴露状況、喫煙者には喫煙状況を問う質問紙を作成した。母親に対しては、能動喫煙ならびに受動喫煙に関する既存の報告を精査し、閉経、月経症状に影響する要因と喫煙者、禁煙者には娘の妊娠中から現在までの喫煙、禁煙の状況、喫煙期間、喫煙量の項目で調査を実施し、現在解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
思春期女子とその母親を対象に能動・受動喫煙と月経周期、月経周期関連症状との関連を検討することを目的としたコホート研究の参加者をリクルートするために時間を要したが、56組の母と娘に月経2周期分の調査を実施した。研究計画に沿った調査経過であるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
思春期の娘と母親を対象とした月経2周期分のコホート研究の結果は、喫煙する母親群の月経周期が非喫煙者の母親群と比較し、月経周期異常発生の早期化、無排卵月経の頻度の高さ、抑うつレベルの高さを有意に示した。同居家族に喫煙者ある非喫煙母親群の月経周期異常の早期化も示された。また、娘の月経周期関連症状は、母親の症状と相関が高く、さらに抑うつレベルも高い相関を示した。受動喫煙のある娘の月経周期関連症状が受動喫煙のない群と比較し、月経前随伴症状が有意に高い結果を示していた。更年期前期~更年期にある母親世代の女性の月経関連症状と抑うつ重症化に受動喫煙が影響している可能性を見出した。母娘を対象とした禁煙支援の実施の前に、更年期女性を対象とした、喫煙行動や禁煙支援の留意点となる根拠を明らかにする必要があることを認識した。
|
次年度の研究費の使用計画 |
更年期前期から更年期の女性を対象とし、能動喫煙ならびに受動喫煙がもたらす早期月経周期異常と無排卵性月経の発生、更年期症状重症化へのリスクについて明らかにすることを計画している。 検診施設で調査を行い、パイロットスタディを経て前向きコホート研究を実施する計画をしている。
|