研究課題/領域番号 |
23593354
|
研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
宮田 久枝 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (70249457)
|
研究分担者 |
楢木野 裕美 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (90285320)
阿部 正子 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (10360017)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | ペアレンティング / 不妊治療 / 子育て支援 / 母親 |
研究概要 |
現在、不妊症は、晩婚による女性の高年齢、生活習慣、環境等の要因により増加の傾向にあり、不妊治療の発展により治療によって出生する子どもの数は急激に増加している。一方、子育てを取り巻く状況は厳しい。少子・核家族化のなか、育児は親の責任となり育児負担がのしかかり、育児は社会から孤立した営みとなり虐待が問題となっている。これに対し、我が国では虐待に関する法整備を整え早期発見のスキルが定着しつつあり、子ども虐待のリスクを抱える親に対して支援策が検討されている段階となった。しかしながら、虐待発生予防をシステマティックに取り組むには手探りの状態である。こうした中、乳幼児虐待の死亡例の1/4は親子関係が安定するまでの生後4ヶ月以内に起こっており、中でも0ヶ月での死亡例が増加している。欧米では、既にペアレンティング・プログラムが実施されており、我が国においても、親子関係形成の早期である分娩から産後1-2ヶ月間の社会資源が少ない時期を危機的時期として重点的に支援すべきである。 本研究は、不妊治療での母親の子どもを得ることへの切望を「子育てへの強み」として捉え、母親が子どもとの愛着関係を形成し、親として成長するよう、不妊治療後の母親の妊娠・産褥期を通して親になるプロセスとその育児実態を明らかにし、早期に子どもとの愛着関係を促進するペアレンティング・プログラムを開発し、臨床に普及することを目的とする。 本年度は不妊治療後の母親と並行して一般の母親にも質問紙調査を行った。これは当初、不妊治療後の母親のみに調査を計画していたが今日の育児実態を見直す必要性と、対照群として行った。その分析から、夫婦関係、育児負担感が注目すべき項目であり、これは一般的な母親と同様な傾向であった。加えて、母親の身体症状、実母親との関係が注目すべき項目であった。現在は不妊の原因、治療期間、治療の種類等による再分析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、不妊治療後の母親に対する妊娠から育児状況についての調査を計画していた。この調査は、先行して行われた申請者らの調査によって得られた育児に関係する要因を加味し、現状での育児状況を質問紙によって明らかにすることであった。 当初は不妊治療後の母親を対象としていたが、臨床の状況から一般の母親の育児状況を確認し今日的な傾向を見る必要があり、対照群としても調査を行った。また、調査は子どもの4ヶ月での実施を計画していたが対象者の参加が少数であることが予測されたため、不妊治療後の母親に対する継続的なかかわりのあるクリニックの承諾を得て行うことができた。また、不妊認定看護師・助産師等の臨床での意見加え、調査することができた。 しかしながら、準備に時間を要したため結果は一次分析に終わり、現在、不妊原因・治療の期間・母親の年齢等による二次分析中である。したがって、来年度に実施する面接内容への反映等、やや遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は質問紙調査の分析と、不妊治療後の母親に対する面接調査を計画している。 第二次調査である面接調査は、対象者の妊娠期から産褥4カ月までとおおよそ8ヶ月間の縦断調査であるため、早急に研究対象者のリクルートを行う。並行して、第一次調査の結果分析を行う。この分析内容を踏まえた面接内容で第二次調査(面接)を実施し、随時、結果分析を重ね、分析は、ICレコーダーに録音された「語り」の内容を逐語録として作成し不妊治療から妊娠・分娩・育児支援という流れの中で「不妊」「子どもに対する思い」「自分自身」「育児」「家族」「夫」に関して分析していく。また、母親の思いの重みについても図示を求め、育児での苦労より育児のやりがいや実感が越えた場面を把握していく。それぞれの語りの内容は、研究協力者との検討会を設け、内容の確認・分析をしながら進める。それによって、不妊治療後の母親のペアレンティングを促進するプログラム開発の示唆を得る。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、まず、不妊治療を行っている研究協力施設との打ち合わせのための旅費、会議費に使用する。また、第二次調査での対象者への謝礼、面接調査での交通費、出張費に使用する。そして、データ整理、補助への人件費に使用する。 また、学会発表・論文投稿、臨床との研修会を開催するための、調査結果の分析会議、旅費、会議費に使用する。
|