研究課題/領域番号 |
23593358
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中嶋 カツエ 久留米大学, 医学部, 教授 (10279234)
|
研究分担者 |
田中 佳代 久留米大学, 医学部, 准教授 (10289499)
加藤 陽子 久留米大学, 医学部, 助教 (70421302)
永田 真理子 久留米大学, 医学部, 助教 (70586908)
嘉村 敏治 久留米大学, 医学部, 教授 (30152870)
加藤 裕之 久留米大学, 医学部, 助教 (30446083)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
キーワード | 子宮頚がん予防 / 思春期 / HPVワクチン |
研究概要 |
本研究は、ワクチンと検診による思春期からの子宮頸がん予防ストラテジーという新たな女性の健康づくりモデルを考案することを目的とし、初年度にあたる平成23年度は、24年度以降に実施する女子中学生と母親及び養護教諭を対象とした本調査の原案作成の資料となる予備的調査を実施した。結果、下記の成果を得ることができた。1.調査対象となる福岡県下の平成23年度市町村子宮がん検診実施体制の状況と22年・23年度の子宮頸がん予防ワクチンの接種状況を情報収集し、把握した。2.福岡県下の50市町村におけるHPVワクチン接種の対象である中学生女子、小学校・中学校・高等学校の養護教諭の概要を調査し、調査対象者を把握した。3.子宮頸がん予防に向けた行政・教育関係・医療機関・市民による啓発活動を先駆的に実施している兵庫県明石市を訪問し、活動の経緯、活動内容、課題等を把握した。4.フォーカス・グループ・インタビューによる質的調査として、福岡県下の女子中学生を持つ母親14名 (1グループ7名ずつ2回実施)を対象に、子宮頸がん・HPVワクチンについての認識の概要を把握した。結果:女子中学生の母親の認識として(1)子宮頸がんとHPVの知識、(2)HPVワクチンに対する不安(予防効果、副作用)、(3)HPVワクチンの費用、(4)HPVワクチンの接種方法、(5)娘の子宮頸がん予防、の項目があげられ、これらに影響している要因として、がんに対する恐れ、正しい情報伝達と情報源、各専門家の役割などが分析された。 1~3及び「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施について」の一部改正などをふまえ、調査内容の分析により養護教諭に対する本調査票原案を検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度からの本調査のための予備的調査として計画していた、調査対象管内の子宮がん検診実施体制の状況と子宮頸がん予防ワクチンの接種状況が把握できたこと、同じく、ワクチンの接種の対象となる女子中学生、調査予定の養護教諭の概要と概数が把握できたこと、さらに、子宮頸がん予防の先駆的啓発活動の実際を視察し検討したことで、行政、教育機関、医療機関の連携、市民への啓発の重要性、各々の専門家の役割のあり方の示唆を得ることができた。23年度の研究計画の中心目的であった、養護教諭・女子中学生と母親への調査票の原案作成のための、女子中学生を持つ母親の子宮頸がん・子宮頸がん検診とHPVワクチンへの理解や娘のワクチン接種に対する受け入れの認識と関連要因を質的調査で収集し、分析できた。以上より、本調査の原案作成のための資料を得ることができた。なお、当初予定していた母親へのプレテストは、質的調査で目的としていた母親の認識が十分、得られたことと、HPVワクチン実施に関わる公的補助の変更の動きなどを考慮し、中止とした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、養護教諭、女子中学生、女子中学生を持つ母親を対象に子宮頸がん・子宮頸がん検診とHPVワクチン、ワクチン接種に対する受け入れに対する認識と関連する健康意識・保健行動などを調査し、国内外の啓発・実施活動状況をふまえ、思春期からの子宮頸がん予防という女性の健康づくりストラテジーモデルの作成に向けて推進する。次年度使用額が生じたのは、質的調査で当初の目的が得られたため、予定していたプレテストを中止したことによる。本調査は25年度に母親を対象に、26年度に女子中学生を対象に予定しているが、研究目的の達成に有効であるとの理由から、母親と女子中学生を対応させた調査を25年度に実施することを検討しており、その計画案の作成に向けて、次年度使用額を使用予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1.福岡県下50市町村の小学校・中学校・高等学校に勤務する養護教諭約1,300名に対する子宮頸がん・子宮頸がん検診とHPVワクチンについての認識調査を行う。 1)調査依頼校先の選択、協力依頼、2)調査票の作成(1)久留米大学倫理委員会にて審査を受ける。(2)23年度の母親の子宮頸がん・HPVワクチンについてのフォーカス・グループ・インタビュー結果および文献・専門的知識の提供を基に検討し、調査票を作成する。3)調査の実施:福岡県下の市町村の小学校・中学校・高等学校の養護教諭約1,300名を対象に自記式質問紙を用いたアンケート調査を郵送法で行う。 2.中間成果発表:第54日本母性衛生学会(福岡)・第31回日本思春期学会(長野)3.25年度の女子中学生と母親を対応させた調査実施に向けての検討
|