研究課題/領域番号 |
23593358
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中嶋 カツヱ 久留米大学, 医学部, 教授 (10279234)
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研究分担者 |
田中 佳代 久留米大学, 医学部, 准教授 (10289499)
舞弓 京子 久留米大学, 医学部, 講師 (50352191)
嘉村 敏治 久留米大学, 医学部, 教授 (30152870)
加藤 裕之 久留米大学, 医学部, 助教 (30446083)
加藤 陽子 久留米大学, 医学部, 講師 (70421302)
永田 真理子 久留米大学, 医学部, 助教 (70586908)
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キーワード | 子宮頚がん予防ワクチン / 子宮頚がん検診 / 思春期 |
研究概要 |
1.25年度は福岡県下の女子中学生を持つ母親を対象に子宮頚がん・子宮頚がん検診とHPVワクチンについての認識調査を実施予定としていたが、6月の「子宮頚がん予防ワクチンの積極的な接種勧奨について一時差し控える方針」との国の決定を受け、当初の目的の成果を得ることは困難であるとの判断と、調査実施による混乱を避けるため、次年度への計画の実施に変更した。その対応として、国内外の専門家との意見交換やWHOなど関連機関の情報収集に努め、HPVワクチンと子宮頚がん予防への基本的な見解を集約した。 2.第32回日本思春期学会にて、24年11月に実施した養護教諭を対象とした調査結果より「思春期からのHPVワクチン接種・子宮頚がん予防に関する養護教諭の認識と行動」を発表、学校保健の担い手である養護教諭がHPVワクチン接種に対し、30.9%が推進するべきではない・どちらかといえば推進するべきではないと答え、HPVワクチン接種または関連する内容について47.0%が相談を受けている状況を報告した。 3.平成26年3月にオーストラリア視察を実施し、ビクトリア保健省を中心に子宮頚がん検査プログラムとHPVワクチン予防接種の実際を見学及び現地当局者と意見交換を行った。検診受診率が5年間で83%を占め、この高い受診率を支えるプログラムの概要と更新の内容を把握することができた。また、スメア検査の一連の病理検査部門や登録業務の実際を見学することにより、検診受診率がきわめて低い我が国とのシステムの違いを認識することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度に予定していた女子中学生の母親に対する調査は、当初の目的の成果を得ることの困難と実施による混乱を避けるためにはやむを得ないことであると判断し、26年度に中学生の女子とともに調査を計画している。HPVワクチンの導入における課題や問題点がむしろ周知された後に母親への調査を実施することで、当初の調査内容にあらたに求められる内容の示唆を得ることができた。オーストラリアの視察は、子宮頚がん予防において、HPVワクチンに関心が集中しがちな我が国の現状に対し、子宮頚がん検診の重要性を強く認識することにつながる内容であり、本研究の最終目標である子宮頚がん予防のモデルの基軸の示唆を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.26年度は福岡県下の女子中学生を持つ母親および女子中学生に子宮頸がん・子宮頸がん検診とHPVワクチンについての認識調査を実施する。25年度にHPVワクチン接種後の副作用の問題がとりあげられ、積極的な推奨の差し控えの方針が示されたことをふまえ、専門家との意見を得て、調査にあたっては、特に慎重に実施を進める。 2.オーストラリア視察の結果を整理・分析中であり、まとめたものを投稿予定である。 3.養護教諭を対象とした「思春期からのがん予防と女性の健康づくり」教育セミナーを実施し、24年度実施の養護教諭の調査報告とオーストラリア視察結果報告をふまえ、女性のがん予防と健康づくりへのモデルづくりのステップとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は、25年度に予定していた女子中学生の母親へのアンケート調査を中止し次年度への計画を余儀なくされたことと、オーストラリア視察の現地との調整が困難で、日程変更を余儀なくされたことで、当初の予算計画に変更が生じ、次年度使用額に相当する金額は所属大学の研究支援金を使用したが、支払日時期限及び伝票の整理上、余剰金として生じたものである。 平成26年度は25年度の実施予定であった福岡県下の女子中学生の母親への調査を26年度予定の女子中学生の調査とともに実施するため、これらの(印刷費・郵送費)の経費として主に使用する。また、養護教諭を対象とした「思春期からのがん予防と女性の健康づくり」教育セミナーの実施のための(旅費・人件費・謝金)の一部として使用する。
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