研究課題/領域番号 |
23593360
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
阿南 あゆみ 産業医科大学, 産業保健学部, 准教授 (00369076)
|
研究分担者 |
柴田 英治 産業医科大学, 医学部, 准教授 (90419838)
|
キーワード | 妊娠 / 身体的ストレス / 心理的ストレス / 労働 |
研究概要 |
妊婦のストレス状況と労働による妊娠・出生児への影響を、信頼性・妥当性が検証されている精神的ストレス尺度(GHQ28)、ならびに労働者の酸化的ストレスレベルの測定指標である酸化ストレスマーカー(尿中8-OHdG)をもちいて妊娠時期別に追跡調査し客観的に解明することを目的とした。平成24年10月より3医療機関にて調査を開始し、平成25年1月までに妊婦150人の調査の同意を得た。妊娠初期・中期・後期の3期にわたり質問紙調査(GHQ28等)と生体試料採取(母体尿)を現在行っている途中である。これまでに妊娠初期調査は150名全ての妊婦に対して終了し、妊娠中期調査90名、妊娠後期調査25名の調査を終了した。 妊娠初期と妊娠中期のGHQ28を比較すると、総得点・身体症状・不安と不眠・社会的活動障害の項目が有意に低下し、妊娠初期のほうがストレスは高い結果が得られた。今後は妊娠後期調査の結果も加え、分析を継続する予定である。生体試料(母体尿3ml)は-80度のフリーザーに保存中であり、尿中8-OhdGの分析は平成25年度に予定している。 妊娠初期のストレスが高いことが科学的に立証されれば、就労妊婦のみならず全ての妊婦に対する保健指導に有益になるものである。また就労妊婦の妊娠中のストレス状況を縦断的に調査することにより、労働基準法の見直しや雇用のあり方など、就労妊婦の健康の保持・増進に寄与する基礎的データとなることが予測される。平成25年度は妊娠中期調査~出産時調査の継続、ならびに尿中8-OhdGの解析を加え、妊娠中のストレス状況を解明していくことを予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、研究計画に則り調査を継続中である。2012年に研究者自身が行った調査によると、労働による影響を実証する酸化ストレスマーカー(尿中8-OhdG)と精神的ストレスを測定する尺度(GHQ28)は、妊娠初期(妊娠12~16週)と妊娠後期(妊娠32~36週)を比較すると妊娠初期の方が高く、妊娠後期に低下する結果を得ている。本調査におけるGHQ28の結果(妊娠初期と妊娠中期の比較)においても同様のことが明らかになり、前述結果を裏付けるものであった。尿中8-OhdGの分析は平成25年度を予定しており、妊娠中のストレスを科学的に解明していく必要があると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は現在調査中である妊娠中期調査と妊娠後期調査を継続し、妊婦の身体的・心理的ストレス状況を客観的に分析する予定である。また出産時調査から得られる医療情報(妊娠経過ならびに分娩時情報、新生児情報)より除外対象妊婦を選別し、最終的調査対象妊婦を選別する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
質問紙データの入力、ならびに酸化ストレスマーカー(尿中8-OhdG)測定のための研究費を予定している。
|