研究課題/領域番号 |
23593364
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
長島 玲子 島根県立大学, 看護学部, 准教授 (00310805)
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研究分担者 |
合田 典子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70225639)
井上 千晶 島根県立大学, 看護学部, 講師 (80413491)
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キーワード | リハビリテーション看護 / 腹圧性尿失禁 / 骨盤底筋訓練 / 骨盤底ケア / エビデンス / 骨盤底形態学的評価 / MRI / 周産期ケア |
研究概要 |
本研究では、出産後尿失禁の慢性化を予防するために、妊娠中期から骨盤底筋訓練を実施することの有効性について検討する。実施群と非実施群について、出産後のMR画像による骨盤底の形態学的特徴を膀胱・子宮頚部の可動性及び肛門挙筋や膣の形状を分析する。両者の比較検討から①妊娠中の骨盤底筋訓練が骨盤底に及ぼす影響を形態学的に明らかにする。②統計解析により、骨盤底の形態学的所見と尿失禁の慢性化要因との関係性を明らかにすることを目的としている。 本研究の意義は、妊娠や分娩に伴う骨盤底の損傷予防や修復に、骨盤底筋訓練が果たす役割を形態学的に証明することができる。そして、産後尿失禁の慢性化を予防し、女性の生涯の健康を展望した看護と後遺症の少ない助産のエビデンスを明確にする。 現時点における研究対象者は、妊娠中期から産後 4か月まで追跡できた訓練実施群18名と非実施群11名であり、そのうち産後 7か月まで追跡できたのは訓練実施群12名と非実施群 7名である。両群に対する産後のMR画像による骨盤底の形態学的評価については、膀胱・子宮頚部の可動性及び尿道の支持構造の評価尺度となる各パラメーターを計測し、分析中である。また、妊娠中期から産後 7か月までの自記式調査用紙による、骨盤底筋収縮の自覚度及び訓練に関する難易度の評価及び尿失禁の頻度とQOLの評価について、時期別に比較検討中である。訓練実施群と非実施群に対する尿失禁の有無別比較では、出産後4か月の時点で非訓練群が有意に多かった。両群について、MR画像による各パラメーターの計測値及び訓練の実施状況、生活動作、分娩状況を個別及び群別に分析し、比較検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象者のうち、運動群において切迫早産で運動中止や非運動群において尿失禁症状の出現で骨盤底筋訓練を実施するなどの理由により、研究対象者を一部除外しなければならなくなったためである。
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今後の研究の推進方策 |
研究方法については、研究対象者数を確保するために対象者の選定を継続する。産後のMRI撮影の開始時期について、計画では産後 4か月以降としていたが、前年度から産後 2か月を追加している。これは、妊娠中の骨盤底筋訓練の実施が産後早期の骨盤底の形態に影響を及ぼしていることが推察されるためである。今後も産後 2か月のMRI撮影を追加することを継続する。 データ解析については、妊娠中期から産後7か月まで追跡したデータの尿失禁の有無別に、まず、MR画像による骨盤底の形態学的な差異を各パラメーターの計測値から分析・評価する。つぎに、訓練の実施状況、生活動作、分娩状況との関連を分析・評価する。 一方、非運動群において産後に尿失禁症状が出現したため骨盤底筋訓練を実施し、研究対象から除外したケースについても自記式調査結果やMR画像の計測結果を丁寧に分析していくこととする。 以上についての研究成果を発表する準備をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費から600,000円程度次年度に繰り越すこととなった。これは、切迫早産等の理由で研究対象から除外しなければならないケースがあり、産後のMRI撮影の回数が減ったためである。 次年度は、データ追加に伴うMRI撮影及び解析費及び対象者や研究協力施設への謝礼、研究成果の発表に伴う外国語論文の校閲費及び旅費、研究協力者への人件費に使用予定である。
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