本研究は,新任保健師の具体的職場内教育(OJT)システムを構築し,その有用性を明らかにすることを目的とし,平成23から25年度にかけて保健師数が少なく新任時期の現任教育体制が整っていない1つの市町村の保健師全員とともに取り組んできた。最初は,仕事についての日頃の思いを保健師全員で話し合うことから始めた。話し合いを重ね,町の保健師として目指している活動は何か,そしてその目指している活動を実現していくためにはどのように仕事を進めていくとよいのかを話し合った。その結果,「事業の目的,目標と流れの方向性を紙面で可視化する」「保健師同士の意見交換の場のもち方」「チームとして各保健師の仕事の配分を考え,誰がどこまで行うのかを明確にする」の3点をふまえて,「保健師それぞれの個性を活かし,笑顔で働けるしくみづくり」を作成し,職場内環境を整えていった。同時に,新任保健師の個人・家族,集団支援実践能力の育成のための先輩保健師の支援方法が可視化できる資料を作成した。平成25年度は,ポートフォリオを活用したリフレクションシートを作成し,4月に町に就職した新任保健師と課長補佐保健師とともに,毎月仕事のリフレクションを行い,新任保健師の戸惑いや葛藤を受け止めながら成長を確認していった。最終的には,新任保健師の具体的職場内教育(OJT)システムとして,「保健師それぞれの個性を活かし,笑顔で働けるしくみづくり」「新任保健師の個人・家族,集団支援実践能力の育成のための先輩保健師の支援方法」新任保健師の仕事への不安や疑問,新任保健師に必要な学習内容,先輩から学ぶことなどを具体的にまとめた「新任保健師1年目の成長へのヒント」の3種類を作成した。今後は,職場内教育(OJT)として活用しながら,さらに改善していきたいと考える。
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