研究課題/領域番号 |
23593371
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研究機関 | 日本保健医療大学 |
研究代表者 |
藤井 広美 日本保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (10336844)
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研究分担者 |
畑下 博世 三重大学, 医学部, 教授 (50290482)
松田 宣子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10157323)
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キーワード | 地域看護学 |
研究概要 |
平成24年度の活動実績は以下のとおりである。 【目的】保健活動の中核的役割を果たす中堅期保健師の力量形成過程を探り、人材育成方法に必要な要件を検討する。 【研究デザイン】半構成インタビュー調査に基づく質的研究 【方法】1)対象者:全国13市町の中堅後期にある保健師、統括的立場にある保健師各1名の計26名。2)リクルート方法:日本看護協会や国保中央会等が主催するモデル事業、全国保健師長会等の調査研究や公衆衛生看護に関する学会等で活動報告経験のある保健師で、関係機関の推薦を受けた者。3)データ収集期間:平成24年11月~平成25年1月、またインタビュー結果を題材として平成25年3月にフォーカスグループディスカッションを実施。4)分析方法:質的記述的分析。 【結果・および今後の方向性】分析の結果、「初任期における徹底した地区活動の経験」、「自分の力量より少し難易度の高い事業への取り組み」、「権限委譲」と「相談・支援体制の保証」、「組織を越えた体験の共有による刺激」がギャッジアップに寄与することが見えてきた。さらに自治体の規模や地域特性等、様々な要因の影響も踏まえて、サンプル数を増やし分析を進めていく予定である。また、一方で、地域保健を取り巻く社会情勢の変化を背景に、現在の中堅初期~中期の保健師が漫然として感じているパワーレス感が重要な課題と認識された。ここをいかに支援していくかが今後の継続的な人材育成体制の整備につながると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度終了時点での達成度は、実態把握のための聞き取り調査については、ほぼ当初予定通りの進捗状況となった。聞き取り調査を進めていく過程で、中堅期保健師を取り巻く育成要因の複雑さが見えてきた。当研究課題では、3年計画で人材育成プログラムの試案を構築する予定であったが、今後の推進方策のとおり、軌道修正を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
1)保健師の力量形成過程について慎重な分析が必要であり、実績で示した通り、中堅後期保健師のインタビュー数を増やし、力量モデルが見えるような分析を進めていく必要がある。分析方法としては、グラウンデッドセオリーアプローチを採用する。 2)中堅期の育成プログラム検討の手掛かりとして、若い世代のエンパワメントに着目し、次の試みを実施する。 ・中堅初期~中期にある保健師を対象に「先輩保健師へのインタビュー」や「自己の実践活動を振り返る」課題を実施。 ・この体験を通して、個人のエンパワメントと保健師活動のコアとなるものを見つめることができるような場を設定する。 3)二つの取り組みから見えてきたことをもとに、保健師の育成支援として必要な要件を提言する。
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次年度の研究費の使用計画 |
インタビュー調査、フォーカスグループディスカッションについては、ほぼ当初予定通り実施する。予算の用途について、大きな変更はない。
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