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2011 年度 実施状況報告書

ビデオ・エスノグラフィーを用いた神経難病療養者と家族の意思決定過程の分析と支援

研究課題

研究課題/領域番号 23593373
研究機関京都橘大学

研究代表者

西田 厚子  京都橘大学, 看護学部, 教授 (10324568)

研究分担者 栗岡 幹英  奈良女子大学, 文学部, 教授 (20145155)
家根 明子  京都橘大学, 看護学部, 助教 (70413193)
藤原 奈緒  京都橘大学, 看護学部, 助教 (50610515)
長瀬 雅子  順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (90338765)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード神経難病療養者 / 意思決定過程
研究概要

2011年度は研究初年度であり,内外の文献を収集し,3回の研究会において検討を行った. また,日本の代表的な研究者が開催するワークショップに複数回・複数名が参加し,会話分析とエスノグラフィーの方法について実践的に学んだ.併せて研究に必要な機材についても知識を得ることができ,大きな成果があった.これにより,年度内に基本的な機材や資材の準備を完了した.そして,研究会において,それらの機材を用いて,操作方法の習熟を図った. 近年,わが国でもエスノメソドロジー,エスノグラフィーおよび会話分析の手法を用いた医療現場の研究が進展している.このことから,第一回研究会では,五十嵐・岡田・樫田他による「医学教育の問題基盤型学習における『介入』技法 - 導入段階の援助として - 」(『教育目標・評価学会紀要』Vol.18, pp.77-86)をはじめ複数の文献を検討し,看護学生へのチューターによる指導の教育的効果を分析するための基礎的な方法について評価・検討した.この検討を通して,方法としてのビデオ・エスノグラフィーの有効性について,一定の見通しを得ることができた. そして,第二回研究会においては,西坂・川島・高木著『女性医療の会話分析』他の文献について分担して報告し,最先端の研究技法を学んだ.同時に研究に協力していただける被験者の選定を行い,必要な手続きや倫理的配慮について検討した. さらに第三回研究会では,北村・深谷監訳『患者参加の質的研究 - 会話分析からみた医療現場のコミュニケーション - 』のいくつかの章を分担して報告し,この分野に関する知識を深めた

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

定期的に開催した研究会において,1)分析課題の明確化とその意義の確認,2)先行研究の検討による現在の研究水準の確認,3)分析方法の検討を行なった.この結果,これらについて研究遂行に必要な以下の知見を得ることができた.すなわち,神経難病療養者と家族への意思決定の支援は,重要な課題であるにも関わらず,先行研究において療養者の意思決定過程の具体的な様相は未だ明らかになっていないということ,本研究で明らかにしようとしているビデオ・エスノグラフィを用いての意思決定支援は,難病患者のみではなく,精神疾患や難治性の慢性疾患を有する言語障害の著しい療養者への看護活動にも応用できるということ,このため社会的意義が大きく,実証的研究の方法としてビデオ・エスノグラフィは有効であるという3点を確認した.  また,先述のワークショップにおいて,機材に関する詳細な助言を得ることにより,適切な機材を購入し,研究会ではその使用法について実地に研修を行った.これにより,各人がビデオカメラの操作法について知識を得ることができた.すでに調査対象の基本的な了解も得ており,倫理審査を受け,承認を得ている. 以上のことから,研究は順調に進展し,次年度に計画しているデータ収集を行う基盤は形成することができたと考える.

今後の研究の推進方策

神経難病療養者とのよりよいコミュニケーションを目的に行っている看護職を対象とした保健所での研修の取り組みも,2011年度に引き続き実施する.これにより,フィールドとの良好な関係を保ち,研究を進める.あわせて,神経難病療養者と看護者との相互作用の事例分析について,ビデオ・エスノグラフィを用いることにより,方法論の確立についても,保健所をはじめとする関係機関と協働して取り組んでいく予定である. また,神経難病療養者と連絡を取り,データ収集をはじめとする調査を遂行することにしている.さらに,調査日時にできるかぎり近い日時で,データの検討と分析を行うための研究会を設定する予定である.研究会では,当該データの特徴を検討し,分析のための基本的な方針について合意を得て,具体的な分析について分担する.その後,各自の研究組織において分析を行い,再度研究会を設定してその成果の交換を計る.このサイクルでのデータ収集と分析を2ないし3回行うことが,今年の課題となる.実際の過程で生じた問題点を検討し,調査および分析の方法や研究会の持ち方などについて修正を加えながら,研究を遂行する予定である.

次年度の研究費の使用計画

物品費については,研究計画に基づいて必要な機材をほぼそろえたため,今後は記録メディアの補充が中心となる.ただし,データを分析するにあたって,さらに視角を変えたビデオデータが必要と判断した場合,ビデオカメラセットをもう1組買い増す可能性がある. その他の経費として,フィールド調査に伴う旅費および関係機関との打合せに伴う会議費や,研究会開催に伴う文献収集費と交通費が必要となる.会議や研究会の開催は,研究の進展をみながら,臨機応変に対処する予定である.

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公開日: 2013-07-10  

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