研究課題/領域番号 |
23593374
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
守田 孝恵 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00321860)
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研究分担者 |
山崎 秀夫 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50137022)
檀原 三七子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30432743)
迫山 博美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40611059)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 保健師 / 地域診断 / 事例 |
研究概要 |
背景:保健師は、「地域」を対象として人々の健康増進や健康管理を目的に活動している。日本の保健師活動の特徴は、保健事業を実施することとその事業の対象にケアを提供する。それと同時に地域診断を行い、「地域」の環境を健康に向けて促進できるようアプローチすることである。その点では海外の保健師活動と特徴を異にする。そこで、個の事例から地域診断を行うツール「保健師活動の展開図」の実用可能性を検証した。研究目的:保健事業の対象者3つの「個」の事例を分析して地域診断を行い、「地域」の課題を見出すツール「地域保健活動の展開図」を用いて地域の課題を明確にするプロセスを明らかにした。研究方法:6か所の地域の活動事例を対象とした。「地域保健活動の展開図」モデルに沿って当てはめ地域診断を行い、地域課題を明確にした。各地域の市町村と保健所の保健師が、その地域の保健事業で関わっている3つの「個別の事例」をアセスメントし、地域の保健統計と活動実績のデータをもとに分析した。その結果を保健師がディスカッションして地域診断を行って保健活動の計画を立案し、その内容を記述した。これらを「地域保健活動の展開図」へ適合させた。結果:全事例ともに「地域保健活動の展開図」に適合させることができた。精神障害者の支援活動事例から、キーパーソンの力量が不足、地域の交流が少ないなどの共通課題が抽出できた。地域住民によるかかわりネットワークの構築が今後の方向性として導き出された。これらのプロセスに関わった保健師は、自らの活動を明確にすることができた。このプロセスは、保健師をエンパワメントさせた。結論:「保健師活動の展開図」を用いることによって、3事例から地域診断を実施することができた。地域診断のモデルとして有効であった。また、「地域保健活動の展開図」に保健師の活動事例を適合させるプロセスは、保健師のエンパワメントにつながった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画は、地域診断の事例アセスメント視点を明らかにすることであった。対象地域において、保健師が家庭訪問を実施した3事例から「保健師活動の展開図」を用いて地域診断のプロセスを分析した。保健師活動の展開図は、事例から地域診断を行うツールである。その活用の実用化を検証するために、事例展開を行った。分析に先立ち、地域診断の概念について文献研究を実施した際、国内には若干の資料はあるものの、海外の活動においては、日本で行われている地域診断のプロセスは異なっていた。そこで、海外の活動の実態を詳細に把握する必要性があると判断し、先進国への視察調査も同時に行った。海外の保健師活動は、日本の訪問看護活動に類似しており、「個」を対象としたものであった。研究の達成は、当初の計画よりも海外文献の検討が加わり充実した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の事例を基に、地域診断のためのアセスメントシートと、保健師活動の展開図の妥当性を統計学的適合度の観点から再度検証する。「個」から「地域」をみる地域診断ツールの開発を推進する。保健師現任教育において、試用を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
地域診断ツールの、統計学的適合度の分析のために、SPSSとノートパソコンの購入を予定している。また、「保健師活動展開図」の普及を目的として、図書の執筆を予定している。そのための打ち合わせ旅費を研究費使用計画として考えている。なお、今年度、海外文献と視察内容の報告書の印刷を直接的関係者への配布に留めたため、繰越額5,610円が生じた。したがって、次年度、試用ツールの印刷の際に、海外文献の報告書も含めて印刷する予定であり、その費用として繰越額を加算して研究費使用計画を立てている。
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