研究課題/領域番号 |
23593374
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
守田 孝恵 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00321860)
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研究分担者 |
山崎 秀夫 浜松大学, 健康プロデュース学部, 教授 (50137022)
檀原 三七子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30432743)
迫山 博美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40611059)
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キーワード | 保健師活動 / 地域診断 / PDCAサイクル / 事例 / 地域 |
研究概要 |
背景:保健師は、「地域」を対象として人々の健康増進とQOLの向上を目的に、家庭訪問、健康教育、地域組織グループ育成、健康相談、健康診査、連携調整という技術を用いて活動を展開している。この活動方法は、我が国の公衆衛生行政や保健福祉行政の体制に依拠するものであり、海外の保健師活動とは異なり我が国独自のものである。本年度の研究では、前年度の研究成果である「個」から「地域」へ広げる保健師活動の展開図を用い、地域診断のプロセスを分析した。 研究目的:保健師活動の展開図における「地域診断」の実用化を目指すために、事例レベルである「個」から、地域診断のプロセスを経て「地域」へ広げる保健師活動のPDCAサイクルを軸とした。このサイクルにおける地域診断プロセスの実用的区分を明らかにすることを目的とした。 研究方法:地域診断プロセスを、1保健師がとらえた地域の実態、2事業実績 3保健統計の三区分として枠組みを設定し、現場の活動事例への適合を試みた。事例は精神障害者に限らず、母子保健、成人保健、高齢者保健領域に関する事例を用いた。 結果:地域の精神障害者を対象とした保健師活動事例を中心として、研究者が開発した「保健師活動の展開図」は、精神保健領域に限らず、母子保健、高齢者保健、成人保健、地域組織育成の各領域の活動についても活用できた。また、地域診断のプロセスは1保健師がとらえた地域の実態、2事業実績 3保健統計の三区分の枠組みで説明可能であった。区分についても、どの対象においても分析可能であった。 結論:精神障害者の事例から地域全体の地域課題を地域診断として分析し、その対応策を明確にして実践、評価へつなげるプログラムとして「保健師活動の展開図」が有効であり、地域診断プロセスは、1保健師がとらえた地域の実態、2事業実績 3保健統計の三区分で示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事例対象とした「個」から課題対策である「地域」へ広げる保健師活動について、PDCAサイクルを可視化する「展開図」を開発した。この展開図に示している、地域診断プロセスにおける三区分は新しい保健師の地域診断ツールとして位置付けられた。著書、「展開図でわかる「個」から「地域」へ広げる保健師活動」をクオリティケアから出版した。本年度の目的はほぼ達成したと考える。当初、精神障害者を対象とした地域診断ツールを限定として開発したが、母子保健、高齢者保健、病院の保健指導、特殊疾病対策、健康づくり対策、健診業務、健康相談などの保健師活動の主な活動方法をすべて網羅した活動事例で検証することができた。地域診断ツールとして有効であることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、保健師活動の展開図を開発して、「個」から「地域」へ広げる保健師活動を可視化し、実用的な地域診断ツールを示した。今後、その実用化を進めていく。地域看護学の教育課程と保健師現任教育の場面において、この地域診断プログラムの使用を容易にするための、実用シートの作成を行う。講師や教員の力量に依拠しない普遍性を追及したプログラムの精度を向上させることを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
保健師現任教育における地域診断プログラムの試用と精度向上の検討のために、国内の旅費を必要とする。また、プログラム印刷等の費用が必要となる。また、本研究の最終年度のため、報告書を印刷し関係各所に配布予定である。また、タイで行われる学会において成果発表の予定であるため海外旅費も必要となる。 なお、今年度、プログラムの試用のための印刷を対象施設に1セットに留めたため、繰り越し額6,034円が生じた。したがって、次年度、プログラムの精度を向上させるための試用の際に、実用的手引書も含めて印刷する予定であり、その費用として繰り越し額を加算して研究費使用計画を立てている。
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