研究課題/領域番号 |
23593379
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
志賀 たずよ 大分大学, 医学部, 准教授 (90305847)
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研究分担者 |
井手 知恵子 大分大学, 医学部, 教授 (00232421)
後藤 奈穂 大分大学, 医学部, 助教 (30582811)
原田 千鶴 大分大学, 医学部, 教授 (80248971)
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キーワード | 地域保健福祉分野 / 看護職 / リスク / リスクマネジメント / 保健所 / 市町村 / 地域包括紫煙センター |
研究概要 |
本年度はまず、文献調査から地域保健福祉分野の看護実践で「リスク」という言語をどのように使っているのかを整理した。これをベースに前年度調査データ分析結果を再検討しリスクマネジメントに焦点を当てた分析を深めた。 医学中央雑誌Webで「アクシデント」「事故」×「地域保健・地域福祉」でヒットした91文献の内容のほとんどは地域の医療機関における医療安全に関するもので、地域看護学の教科書等では、公衆衛生行政を担う保健所の立場から医療機関の医療安全や医療事故の記載はあるものの、地域保健福祉活動における事故等の記載はなかった。また、医学中央雑誌Webで地域保健福祉分野における「リスク」「リスクマネジメント」に関連する132文献を抽出し分析した結果、91(68.9%)文献が【対象者のハイリスク状態】に関するものであった。また、他に【災害時の健康危機管理】、【事故やアクシデント】に関わるもの、【援助者が受ける暴力や危機的状況】があった。地域保健福祉分野で用いる「リスク」は対象者のリスクそのものやハイリスク者への援助リスクに関連する事、健康危機管理の比重が大きく、医療安全において用いる「リスク」と混在して使用している状況である。 前年度調査データを、リスクマネジメントに焦点を当てて分析を行った結果、【個々人が気をつける】【職場で注意喚起して予防】【それぞれの事例で対処】が多い現状で、看護者の傷害保険や予防接種等に関しては【組織的に管理】していた。また、地域包括支援センター、保健所、市町村のいずれにおいても、対象者と看護職の当事者だけでなく、対象者家族や協働する他職種・ボランティア、時には看護者の家族のリスクにも関係しマネジメントする必要性があった。さらに、対象者のリスク特性に対しては、対象者と看護者に起こりうるリスクを予見しリスク回避しながら看護援助を展開しマネジメントしていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度収集した面接調査データを分析する過程で、地域保健福祉分野の看護活動における「リスク」と「リスクマネジメント」の言語のニュアンスが、医療安全において使用される言語と異なり、質問紙調査票を作成する上で地域保健福祉現場の実情に合わせて用語の概念を整理しておく必要があった。まず文献の分析から地域保健分野で「リスク」と言う言語をどのように使っているのかを整理し、昨年度実施した面接調査の分析結果を再度検討した上で「リスクマネジメント」に焦点を当てて分析を深めた。今年度末に質問紙調査項目の検討を終え、現在質問紙の作成・発送準備中である。計画では今年度中に質問紙調査を終了する予定であったため研究の達成度はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究組織の構成、役割分担は当初の計画を変更せずに進めていく。ただし研究計画の遅れを回復するためにデータ入力や分析にかかる研究補助者の人数と時間を増やし、質問紙調査結果の分析を前半期に集中的に実施する予定である。後半期のグループインタビュー結果の入力分析や研究協力者に対する報告書の作成ににかかる研究補助者を増員して進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ保存のための電子媒体、印刷用紙、事務用品、文献など消耗品にかかる費用、報告書作成費、データ入力や分析にかかる研究補助者に対する謝金、最終年度のグループインタビューにかかる旅費と学会発表にかかる旅費を計画している。
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