研究課題/領域番号 |
23593381
|
研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
千葉 敦子 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (30404817)
|
研究分担者 |
山本 春江 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (00315540)
藤田 修三 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20173429)
森永 八江 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (40404818)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
キーワード | 職域 / 生活習慣病予防 / 壮年期男性 / 教育波及効果 |
研究概要 |
研究目的:生活習慣病の増加はわが国の健康課題であり、健康に興味や関心を示さない人々への有効な働きかけが求められている。申請者らは、生活習慣病予防をテーマに、健康教室参加者からの教育波及効果を意図した保健指導モデルを開発し、壮年期男性の多い職場で実行した。このモデルでは、教室非参加者の意欲の向上、検査値の改善、組織全体におけるコミュニケーションの活性化、健康行動ブームの発生等、一定の教育波及効果が確認できた。本研究ではこれまでの研究成果を発展させた効果的な保健指導モデルをめざすために、職域壮年期男性を主対象に、生活習慣病予防に近年の重要な健康課題であるメンタルヘルスの視点を取入れたプログラムを考案し、その効果を検証することを目的とする。研究計画実施状況:平成23年度は保健指導モデル実践に向けての準備・調整を行った。本保健指導モデルの実践に協同する企業を募集し、1社から賛同を得た。その後、企業の健康づくり担当者(衛生管理者)と研究者で連携を効果的に行うための組織化を行った。また、当該企業の健康課題を抽出する方法に関して協議するとともに、効果的な保健指導方法について検討した。本モデルの特徴である(1)「個人への積極的支援」と、(2)「周囲への戦略的波及効果促進」の2つのアプローチを連動する手法は固定されたものであるが、その具体的な方法については当該企業の健康課題や特色に応じて柔軟に対応するものとし、より効果的な支援のために、健康教室の開催時期、時間、内容、運営方法等について企業の担当者と検討した。計画どおり24年度から保健指導モデルを実践できる準備を整えることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、職域壮年期男性を主対象に、生活習慣病予防に近年の重要な健康課題であるメンタルヘルスの視点を取入れた、「個人への積極的支援」と、「周囲への戦略的波及効果促進」の2つのアプローチを連動させた保健指導モデルを考案し、その効果を検証することである。本モデルにより、保健指導を受けた個人のみならず、社員全体の生活習慣病予防を中心とした健康増進につながる可能性があることから、壮年期男性の生活習慣病予防対策の基礎資料となりうるものである。本研究目的を達成するためには、趣旨に賛同し、協同する企業の存在が不可欠である。 平成23年度は、24年度からの保健指導モデル実践に向けての準備・調整を行い、本保健指導モデルの実践に協同する企業1社を得ることができた。まずは、企業の健康づくり担当者である衛生管理者が、本モデルに興味を示し、社員の健康増進のために協同してとりくみたいと意欲を持ったことは評価できると考えられる。また、この衛生管理者が管理職にかけあい、企業全体で本モデルにとりくむことが決定したことは、本研究の目的に照らして有意義なことである。24年度からの保健指導モデルの実践に向けての準備が整い、本研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
24年度と25年度の2年間は、協同承諾の得られた1社に対して保健指導モデルを実践する。この企業は、社員数約200名の造船を主業務とする、壮年期男性職員が多い企業である。 本保健指導モデルの特徴は、「個人への積極的支援」と、「周囲への戦略的波及効果促進」の2つのアプローチを連動させたモデルであり、健康教室参加者から周囲の社員および組織全体へ意図的に教育効果を波及させ、社員全体の健康増進を図ることをねらいとしたものである。保健指導は、集団方式での健康教室とし、自主的参加者を対象に、3回1クールで実施する。内容は栄養・運動・コミュニケーションとし、すべての内容にメンタルヘルスとの関連を強化して盛り込む。健康教室では、単なる正しい知識の普及ではなく、参加者が個々人に応じた「コツ」や「チエ」といった生活に取り入れやすい体験知を身につけ、他者へ勧めたいという意欲が増すような工夫をする。そのためには、「楽しさ」という要素を盛り込み、グループワークや体験型学習(加速度脈派、ライフコーダ、栄養調査、健康クイズ)を多く取り入れた教室とする。その他、波及を促進するための手段として、波及促進グッズ、シンボルマーク、インセンティブ効果等を活用する。 本モデルの評価は、参加者の教育効果、非参加者および組織全体の教育波及効果を検証する。具体的には、参加者の教育効果として、健診データの変化、生活習慣行動の変容、行動変容ステージの変化、主観的健康感への影響、精神的健康度の変化を評価指標とする。また、非参加者および組織全体の教育波及効果として、教室参加者が学びを伝達した相手の数とその内容、被伝達者および企業全体の健診データ、行動、意欲の変化、企業システムにおける変化を評価指標とする。 保健指導モデルは同一企業に同じ内容で2年間実施し、26年度で全体的な評価を行い、保健指導モデルの精錬化を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、保健指導モデルを1社を対象に実施する。このために必要な主な経費は,(1)企業と大学の打合せ・教育実施・成果発表に伴う旅費,(2)波及効果促進グッズの開発にかかる費用,(3)健康運動指導士等講師への謝礼,(4)アンケート印刷・入力等の事務作業補助にかかる謝金,(5)加速度脈派レンタル費用,ライフコーダ,液晶プロジェクターの備品,(6)消耗品等である。 このうち,備品に関しては,運動量測定のためのライフコーダが健康教育対象者の人数分必要であり,不足分を補充する必要がある。また,健康教育を行う上で持ち運びの容易な液晶プロジェクターが必要となる。波及効果促進グッズとして、当該企業の社員の目に触れやすく、活用度の高いグッズを開発する必要がある。現時点で検討中であるが,一人1,000円相当で200人に渡せるようなものを想定している。
|