研究課題/領域番号 |
23593383
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
鹿野 裕美 宮城大学, 看護学部, 准教授 (40510631)
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研究分担者 |
関戸 好子 宮城大学, 看護学部, 教授 (80216530)
山田 嘉明 宮城大学, 看護学部, 教授 (80200757)
桂 晶子 宮城大学, 看護学部, 准教授 (00272063)
伊藤 常久 東北生活文化大学短期大学部, その他部局等, 講師 (10289738)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ヘルスケアシステム / 養護教諭 / 中一ギャップ / アクションリサーチ |
研究概要 |
「中一ギャップ」とは、中学校に入学した生徒が、小学校から中学校の環境の変化に対して、大きなギャップを感じ、中学校生活にスムーズに適応できないという問題である。これまで中一ギャップの生徒の支援方法の開発を行い、心身相関理論を生かした養護教諭のヘルスケアの有効性について報告してきたが、このヘルスケアを機能させるためには、有機的なケアシステムの開発が必要であると考えている。 具体的には小学校と中学校の保健室の「縦の連携」、および中学校における養護教諭・教職員・保護者との「横の連携」を推進する「縦横的ヘルスケアシステム」の構築が重要である。そこで本研究は、保健室の「縦横的連携」に基づく、ヘルスケアシステムの構築を目的として、ヘルスケアシステムのモデル開発と、そのヘルスケアシステムの促進による中一ギャップの生徒に対する支援の有効性の検証を行うことを目的として研究を実施する。 平成23年度は、中一ギャップの生徒に対するヘルスケアシステムのモデルを開発検討し、養護教諭によるアクションリサーチによるパイロット研究にてモデルの検証を行う予定であった。しかし東日本大震災の発生により、当初フィールドの予定であった宮城県の学校は甚大な被害が生じ、研究依頼が可能な状況には至らなかった。 したがって平成23年度は、中一ギャップへの支援にかかわる文献検討および、これまで収集した事例データの分析作業、また関連する国内学会や国際学会への出席により、心身相関理論に関する最新の情報を収集した。 また平成23年度に「ケースメソッド教育」の書籍の発刊にあたって、中一ギャップ生徒への支援の方法についてケースおよびティーチングノートを作成し、書籍の分担執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画に基づく研究活動の進捗状況ならびに現在までの達成度は「遅れている」状況にある。 このような状況に至った理由としては、平成23年3月11日に東日本大震災が発生し、研究代表者そして共同研究者らの所属する大学が被災地にあり、そのため大学が少なからず震災の影響をうけ、通常の教育活動の遂行にも、多くの調整等を生じたこと等が第一の理由としてあげられる。 第二の理由としては、被災地宮城県にある公立の大学として、宮城県を中心とした被災地への支援活動などが実施され、また東日本大震災にかかわる臨時の調査活動など、当初は予期しなかった多くの研究や社会貢献活動に関与する必要性が生じたことがあげられる。 第三の理由としては、本研究のフィールドとして予定していた県内の学校が、東日本震災の影響を多大に受けており、そのような状況下にあって、倫理的側面からも平成23年度の研究依頼は困難と判断し、フィールドの確保ができなかった点にある。 以上のことから、当初予定していた研究計画を遂行することが困難であり、また多くの震災にかかわるプロジェクト等のため、本研究の遂行には全体的な遅延が認められている。 今後は研究計画の見直しを行い、研究目的を達成するための活動を鋭意実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、「中一ギャップ」とは、中学校に入学した生徒が、小学校から中学校の環境の変化に対して、大きな段差(ギャップ)を感じ、中学校生活にスムーズに適応できないという問題である。昨今、この中一ギャップの出現にかかわる対応策として、小中連携等、多くの方法が検討、導入され、その成果も認められている。 筆者らも保健室における中一ギャップ支援に焦点化し、養護教諭が行うヘルスケアを明確化した。しかしこのヘルスケアを機能させるためには、有機的なシステムの開発が必要である。具体的には保健室の小学校と中学校の「縦の連携」および保健室と教職員・保護者との「横の連携」を推進する「縦横的ヘルスケアシステム」の構築が必要である。 平成24年度は、質問紙調査等により、中一ギャップ支援のためのヘルスケアシステムにかかわる小中学校の実態を調査する。その上で、効果的なシステムを構築し機能させている学校への面接調査を行う。また課題の生じている学校への支援的介入も実施したいと考える。 並行して、小中学校の児童生徒へも、心理検査法を用いた質問紙調査を行い、その健康レベルの測定、評価等を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、中一ギャップのヘルスケアシステムにかかわる実態調査として、小学校および中学校の質問紙調査、面接調査を実施する。 具体的な研究費としては、質問紙調査作成のための費用と、その郵送費を計上する。さらに、その有効なケアシステムを構築、機能させている学校への面接調査を実施する予定であり、そのための費用を計上する。 また小中学校への児童生徒への質問紙調査などにかかわる費用も計上される予定である。 以上の調査後、それらの研究結果等を関連する学会にて順次発表する予定である。さらに報告書作成、論文投稿等の費用が予定される。
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