研究概要 |
この研究の目的は, 中高年者の健康増進の運動行動の持続を予測する, 自己効力および結果期待の尺度を開発することである。そのために, 自己効力と結果期待の概念分析の研究, 尺度開発に関する調査研究, 開発した尺度の有用性の研究を行う。 まず, 平成23年度には, 日本国内外の健康増進の運動行動, 自己効力と結果期待の概念に関する研究論文のシステマティック・レビューを行い概念を分析した。また, 健康増進の運動指導を行っている3人の専門家ブレーンストーミング, KJ法を用いて2つの概念の構成を検討した。 次に, 平成24年度にはそれらに基づいて, 自己効力と結果期待の尺度項目の原案を作成し, その項目を用いて自己効力および結果期待尺度の原項目を作成するための調査研究を行った。その調査は, 一般住民を対象に約5回から7回行われ, その都度, 回答者が回答しにくいとした尺度項目の表現やその回答形式を修正して, 回答が困難ではないことが確認できるまで繰り返し行い, 最終的な尺度原案を作成した。 そして, 平成25年度は, 自己効力と結果期待の原尺度項目から尺度として使用可能な項目を抽出するための調査研究の準備を行い, 現在, 約1500人を対象にその調査を進めている。この調査は, 郵送法を用いて行い, 対象者が調査票に回答し, 研究者へ返送することで研究の同意を得る。この回収が終了次第, 統計的検討を行ない, 最終の尺度項目を抽出する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は, 約1500人を対象とした調査を行い, 自己効力と結果期待の原尺度から最終的な尺度項目を抽出する予定であった。しかし, 研究協力者の退職に伴い, 平成25年度途中からの研究協力が得られない事態が生じ, 急遽, 新たに研究協力者を開発しなければならなくなり, 平成26年度に調査票の配布が持ち越しになっているため,「やや遅れている」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度に約1500人を対象とした調査がずれ込んでいるが, 新たな研究協力団体の確保により, 調査票の配布と回収が開始され, その調査票の回収は順調に進んでいる。今回の回収結果を統計的に検討した後, 本年度予定している自己効力と結果期待の尺度を精鋭するための調査研究を進める予定である。また, 研究の最終年度, 平成27年度の 予定である, 開発した尺度の有用性を検討するための調査研究の準備を開始する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度には, 本年度実施予定であった約1500人を対象とした郵送法による調査研究の開始が, 平成26年度にずれ込んでいるためである。 まず, 本年度実施予定であった調査のために, 調査票の研究協力団体への配送, 調査協力者への配布と調査票の回収のための郵送代に当てる。また, この調査結果から, 自己効力と結果期待の尺度項目の内容を検討する。そして, この2つの期待の尺度項目を吟味した調査票を作成し, 最終的な尺度項目を抽出するための次年度の調査を行うため, 本年度の調査と同様の手続き, すなわち, 調査票の印刷, 研究協力団体への調査票の配送, 調査協力者への配布と調査票の回収のための郵送代にかかる研究費用に当てる。
|