研究者らが作成した活動評価シート試案と質問項目を用いて、4市町村において保健師とともに評価を実施した。1市町村で評価を実施するごとに活動評価シートと質問項目の改良を繰り返した。活動評価シートは、先行研究で開発したものをVer.1とし、Ver.8まで改善した。Ver.1からの変更点は、評価しようとする事業の目的・目標を明確にし、これを基軸に情報を整理できるようにした、保健師が取り組みやすい工夫をした、保健師の思考プロセスに沿って情報を記載できるようシートの欄を配置し、記載を助ける質問項目の順序等を工夫した、の3点である。活動評価シートを記載するための質問項目は、シートの改善に加えて表現の調整を繰り返し、最終版を作成した。 また、評価をともに実施した4市町村12名の保健師を対象に、評価終了後に聞き取り調査を行った結果、開発した方法による活動評価の意義は、目的目標を意識すること、保健師同士が話し合うことにより得られるものがあることが確認できた。保健師としての実践能力向上という視点からは、シートというツールを使うことで事業の目標や成り立ちを意識化することができること、複数の保健師で話し合うことにより同時にそれぞれの保健師の能力向上が図れることが確認できた。 開発した活動評価方法の特徴は、1)活動目的の明確化の必要性に気づくことができる、2)保健事業・活動について、行政の活動としての位置づけを明確にすることができる、3)事業や活動の目的を意識した話し合いを通して保健師が相互に学びあうことができる、の3点と考える。 また、本研究の取り組みから検討した看護活動であり行政活動である保健師活動の特徴は、1)行政の中で保健師活動が伝わりやすい表現方法を工夫する必要がある、2)住民が安心して暮らせることを目指して多様な協働が求められる、3)行政活動を看護の考え方をもって実施する、の3点である。
|