研究課題/領域番号 |
23593391
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
脇坂 浩 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80365189)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 感染対策 / 高齢者介護施設 / アウトブレイク / MRSA / 保健師 / 研修ニーズ |
研究実績の概要 |
高齢化率が全国平均に最も近い一都道府県の高齢者介護施設を対象に、感染症対策のアンケートを2013年に実施した。研究成果は、2014年の学術誌(環境感染誌Vol.29 no.5)に掲載した。厚生労働省医政局指導課長通知「医療機関等における院内感染対策について」以降、医療施設間が連携した感染対策は進められているが、高齢者介護施設においてはその効果は少なく、インフルエンザやノロウイルスのアウトブレイクが3割程度発生していることが判明した。今後は高齢者介護施設でのアウトブレイクに対する感染制御の構築が必要であると考えた。 医療機器を介した感染伝播を予防することを目的に、看護学生の手指と携帯電話のMRSA/MRSEの汚染状況を2012年に調査した。研究成果は2015年の看護雑誌(看護技術Vol.61 no.3)に掲載した。看護学生の7割と携帯電話の3割がMRSA/MRSEに汚染されていたことが分かった。携帯電話はタッチパネル式(スマートフォン)よりボタン式(ガラパゴス携帯電話)の方がMRSA/MRSEに汚染されていたことが分かった。医療施設と保健福祉関係機関内の連絡にPHSが頻繁に使用されているが、MRSA/MRSEによる汚染の低減させるために、今後は手指衛生の遵守率向上とタッチパネル式の携帯電話を取り入れることが必要であると考えられた。 地域の感染症対策を担う全国の保健師を対象に、2013年に感染対策の実態と研修ニーズを調査した。研究成果は、2015年の学術誌(環境感染誌Vol.30 no.2)に掲載した。医療監視及び教育機関における感染対策については都道府県庁よりも市区型保健所による活動が多く、前者の管理的な役割、後者の住民に身近な対策を行う役割の特徴があった。研修ニーズとして、「新型インフルエンザ」「感染症発症時の対応」が高く、危機管理における感染対策の研修の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、「医療施設と保健福祉関係機関が密接に連携した感染症対策システムの構築」と「保健師のための感染症対策専門家(専門相談員)教育課程の構築」で構成している。2014年度までに予定していた調査はすべて終えている。しかし、精神科病院で手指衛生に関する調査を行った結果は、現在分析中である。研究期間を1年延長して、研究成果を公表していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度に精神科病院の看護師を対象に行った手指衛生に関する調査結果を分析して、2018年に日本環境感染学会総会で一般演題発表を行い、同学会の学術誌に論文を投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度に調査した結果を、学術学会に演題発表できておらず、加えて論文として掲載できていないので次年度の使用額が生じた
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度の日本環境感染学会総会・学術集会で一般演題として発表する。また、感染管理看護研究会に論文投稿する予定である。
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