虐待は育児の問題が最も悲惨な状況に陥った状況であり、予防的に関わるには育児を中心に支援していくことが有効とされている。そこで、虐待だけでなく虐待だけでなく要支援事例を含めた対象について調査を行い、妊娠から4か月児健診における縦断研究で、調査時期は妊娠届出時、乳児全戸訪問時、4か月児健診時で、各市町で実施している母子保健システムを活用して行う。分析は時期別(妊娠期、乳児全戸訪問時、4か月児健診時)に分析するともに、3つの時期を縦断的に分析する。 本年度は要支援事例として16事例収集できた。収集した事例の妊娠期におけるリスクとして、①養育者のリスクとして障害(知的、身体、精神)、疾病、高齢、若年、妊娠管理が不充分、喫煙・飲酒、生育暦問題、不妊治療など、②家庭のリスクとして、一人親、未入籍、兄弟に障害がある、内縁、離婚、夫婦不和、連れ子あり、妊娠後転入などであった。妊娠期の支援として、両親学級への勧奨、医療機関との連絡、訪問しての指導が実施されていた。 乳児全戸訪問時におけるリスクとして、①養育者のリスクとして愛着形成など、②家庭のリスクとして支援者なし、③子どものリスクとして難聴、先天性疾患、低出生体重児、受診中断であった。乳児全戸訪問時の支援として、こころの健康相談紹介、ヘルパー派遣紹介、ケース会議、サービス紹介などであった。 4か月児健診時におけるリスクとして、①養育者のリスクとして服薬中、②家庭のリスクとしてDV、支援者なし、③子どものリスクとして、障害、疾病があった。4か月児の支援として育児教室の紹介、健康相談紹介、医療機関紹介、日常生活用具の紹介などであった。 妊娠期に把握できたリスクは解決困難なリスクが多く、さらに乳児全戸訪問時、4か月児健診において子どものリスク、養育に関するリスクが追加されることから、妊娠早期から出産後のリスクを予測した支援が必要である。
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