研究課題/領域番号 |
23593403
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研究機関 | 群馬パース大学 |
研究代表者 |
矢島 正栄 群馬パース大学, 保健科学部, 教授 (40310247)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 発達障害 / 保健師 / 子育て支援 |
研究概要 |
平成23年度は、市町村保健センターにおける発達障害児の把握及び子育て支援の実態と課題を検討することを目指した。発達障害児支援に関する国内・国外の文献を検索した結果をもとに、発達障害児支援に関わる組織体制と職員の人数及び職種、市区町村が行っている発達障害児支援の内容と実績、地域の発達障害児に関する実態、地域の発達障害児支援における保健所・児童相談所・発達障害者支援センター・その他の関係機関との連携、発達障害児対策の推進の課題に関する半構成質問紙を作成し、群馬県内の市町村保健センター7か所を対象に面接調査を実施した。その結果、発達障害児支援の質向上の必要性は強く認識され、いずれも母子保健担当部署が分掌していること、保健師が個別支援に当たっていること、発達障害が疑われる児を対象とする何らかの相談事業や集団教育を実施していることなどの共通点がみられた一方、組織体制、支援実績、乳幼児健康診査における発達障害児スクリーニングの目標設定や評価項目、関係機関との連携の状況等において、市町村間に大きな違いがあることが明らかになった。また、発達障害児支援に関する担当者の課題意識は地域の保健医療福祉体制や支援実績に応じて多様であることが明らかになった。 これらの結果を基に、次年度は、面接調査の対象数を追加し、市町村における発達障害児の把握と子育て支援に関する現状と支援体制の課題を質的に明らかにし、市町村における発達障害児支援の実践モデルを示すと共に、得られた結果に基づいて、市町村保健センターにおける発達障害児支援実態の全国調査を実施する。また、保健所、児童相談所、発達障害者支援センターの側からみた市町村保健センターとの連携の実態と課題を質的並びに量的に明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の進捗は、発達障害児支援に関する文献レビュー、及び、それを基にした面接調査による市町村保健センターの発達障害児支援に関する質的分析は、概ね計画に従って遂行した。しかし、質的分析の過程で、市町村の取り組み状況の多様性から、追加調査の必要生が明らかになった。 また、当初の年次計画では、全国の市町村保健センターにおける発達障害児の把握及び支援に関する実態調査を実施する予定で準備を進めてきたものの、調査票の確定に時間を要し、年度内の実施に至らなかった。 その理由として、東日本震災の影響をはじめとする諸事情により研究着手が遅れたこと、発達障害児支援の現状が当初の予想を超えて多様であったことから、全国調査に向けた質問紙の構成に向けて、より詳細な検討の必要性が生じたことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、面接調査を追加実施し、市町村における発達障害児支援の実践モデルを示す。また、市町村保健センター(1/2抽出)における発達障害児支援実態の全国調査を実施する。次に、これらの結果から市町村保健センター側から保健所・児童相談所・発達障害者支援センターに求められる支援・連携のニーズを抽出し、これに基づいて保健所、児童相談所、発達障害者支援センターの側からみた市町村保健センターとの連携の実態と課題に関する質的調査を行う。さらに、保健所、児童相談所、発達障害者支援センターの面接調査結果を踏まえ、全国の保健所494か所の母子保健担当保健師、児童相談所201か所(平成21年5月現在)の発達障害児支援を担当する職員、発達障害者支援センター81か所(平成22年10月現在)の実務担当者のリーダーを対象に郵送調査を行い、全国の実態、地域別・人口規模別の傾向を明らかにすると共に、現地調査に向けて積極的・特徴的な活動がされている施設を抽出し、リストを作成する。平成25年度は、前年度の結果から市町村保健センターと保健所・児童相談所・発達障害者支援センターの3者の恒常的な連携体制がある20か所の調査地域を選定し、先進の地域における活動の分析から連携システムの類型化と構築プロセスの分析から、市町村保健センターと保健所、児童相談所、発達障害者支援センターの連携による発達障害児支援システムのモデルを提示する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費は、今年度実施を見送った市町村保健センターにおける発達障害児支援の実態調査に係る郵送費、発送作業及びデータ入力補助者謝金、郵送調査用封筒、回収質問紙の整理用コンテナ、データ保存用外付けハードディスク、調査票作成・整理・分析のための文具等に係るものである。これらは、次年度に先送りして実施する同調査に計画どおり充てることとする。また、当初、平成24年度の使用を予定していた面接調査に係る旅費、研究協力者謝品、成果発表に係る旅費、郵送調査に係る調査票・封筒印刷費、郵送費、面接調査協力者への謝礼、全国調査に係る調査票発送・回収整理作業、データ入力作業補助者謝金は、当初の計画どおり使用する。
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