研究課題/領域番号 |
23593413
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
金子 あけみ 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (80588939)
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研究分担者 |
小林 奈美 北里大学, 看護学部, 教授 (90311406)
大野 佳子 北里大学, 看護学部, 准教授 (20347107)
森 淳一郎 信州大学, 医学部, 講師 (20419401)
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キーワード | 保健指導技術 / 保健指導プログラム / 家族看護学 |
研究概要 |
本研究の2年目では、家族に焦点化した保健指導モデル内容を具体的にイメージするため、既存の保健指導プログラムや広く市販されている保健指導のテキスト、DVD等の教材を収集し、個人・家族に対する指導場面での言葉かけ、指導内容、保健指導者の意図、アセスメント等について検討した。検討に当たっては、行動変容のステージ、面接回数、支援形態(個別面接、電話、メール等)、対象者の特性、問いかけの内容、コンテキストを主な指標とした。これらの保健指導において、セルフモニタリング法、スモールステップ法、強化法、リフレーミング法等、さまざまな技術を組み合わせていることがわかった。しかし、これらの膨大な資料をみても、家族を想定した問いかけはほとんど用いられていないことが明らかになった。 一方、家族を対象とする看護研究の傾向について把握するため、医学用語シソーラスに着目し、テキストマイニングを用いて、養育期、成人期、老年期における研究の特徴について把握することとした。その結果、養育期では母子関係を中心とする育児や心理的ストレスに関する研究が多いという特徴が明確になった。成人期では、文献数が少ない上、精神看護領域に限定される傾向があり、保健指導に係る家族の健康をテーマとする研究はなかった。老年期は介護や在宅看護領域の研究が多く行われているが、家族看護との共起、すなわち、複数のデータがともに同じデータに出現することはなかった。このように各領域における家族看護の考え方が異なる可能性が示された。 このため、実際の特定保健指導対象者から個人と家族の関連が示唆された事例研究を踏まえ、本研究においても、実際の特定保健指導の動機づけ支援者に対する個別保健指導場面を録音し、内容分析を行い、個人からみた家族との関係性やヘルスビリーフ等の個人の行動変容に影響を及ぼす問いかけの内容を抽出することとしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、文献レビューの次の段階は、実際の特定保健指導の動機づけ支援対象者に対する保健指導の会話記録について質的内容分析を行う予定であったが、保健指導を実施する者がどのような知識・技術に基づき保健指導を実施しているか、既存の保健指導に係るテキストやDVDの内容や保健指導技術について概観する必要性が生じたこと並びに看護領域における家族を対象とする看護研究の傾向を把握するため、テキストマイニングを用いて吟味することを追加したため、研究の進行はやや遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向け、実際の特定保健指導の動機づけ対象者及び保健指導者(保健師)の指導場面を録音し、その会話内容について質的内容分析を行うため、調査フィールドの確保に向け調整中である。 また、これまでの先行研究を踏まえ、家族の有無等が個人のヘルスアウトカムに影響するか否かについて、企業健診等で健診データ蓄積のある企業の協力を得て、遡及的・量的な調査を企画しており、調査フィールドと質問項目等について検討中であり、研究協力者の確保及び確実にデータ等を得られるよう、分担研究者との連携・協力をさらに密にして進めていく計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
家族システムに焦点化した保健指導プログラムの開発に向け、以下のような研究費の使用計画を立てている。 ①特定保健指導動機づけ対象者の保健指導における会話記録の分析と検討:ICレコーダー、保存用メモリーカード、委託費(テープ起こし)及び研究協力者への謝金等を当初計画に従い予算執行する。 ②企業健診における家族の有無によるヘルスアウトカムの影響の調査:研究協力謝金及び委託費(統計解析)について、海外旅費に計上していた費用等から予算執行する。 この他、調査を実施に当たり、打ち合わせ旅費、会議費、通信費、研究支援者雇用費が発生するが、これらについても適正に予算管理し執行する計画である。
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