平成24年度までに全国の500近い大学と約2000人の大学生へのアンケートを実施した。全国の大学および大学生の実態を把握するのに十分な調査になったものと考える。 これまでの研究結果については、学会発表し、学会誌へ論文を投稿することを通して、研究成果を発信することができた。また、平成25年度は、特に国際学会でも結果を発表した。本研究では、大学生の薬物乱用リスクは高いにも関わらず、大学側の教育体制は事件の減少とともに縮小傾向にある現状が明らかとなり、本調査結果の発信は、社会的に大きな意義があったと考える。 本研究のアンケート調査の分析結果から、大学生を対象とした薬物乱用防止教育プログラム開発には、大学生と大学全体、個人と集団両方の規範意識を高め、薬物使用リスクや性格特性、興味関心の高さなどに合わせた教育を、授業時間を使って実施することが効果的である可能性が示唆された。さらに、大学生の薬物乱用防止の意識を高めるためには、学生への直接的な教育のみでなく、大学として事務職員と教員が協働した対策組織を持つこと、大学生の生活環境(繁華街・クラブ・パチンコなど)の監視も重要な要素であることが明らかになった。 学生のニーズにあった薬物乱用防止教育に加え、学内教員・事務職員・学生が大学全体で組織的に取り組む体制づくり、行動の管理・監視、大学のポリシーも含めた、包括的薬物乱用防止プログラム開発の方向性が示唆された。
|