研究課題/領域番号 |
23593420
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
三橋 睦子 久留米大学, 医学部, 教授 (50289500)
|
研究分担者 |
津村 直幹 久留米大学, 医学部, 講師 (50227469)
大坪 靖直 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60223880)
佐藤 祐佳 久留米大学, 医学部, 講師 (40368965)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
キーワード | 感染症 / 災害 / 公衆衛生 / 危機管理 |
研究概要 |
我が国は災害大国であり、大規模災害の発生により、発災直後から衛生環境が低下することから、ほとんどのケースで二次災害としての感染症流行の危険性が指摘されている。そこで、本研究では、国内を中心とした災害発生後の超急性期から急性期、回復期をめぐる感染症の集団発生の危機に対し、被災者および支援者へ向けた感染防止のための包括的支援プログラムを開発することを目的とする。 本年度は、発災後の各フェーズにおける感染症危機管理ガイドラインの構成要素となる情報等の事前調査を行う。まず半構成的質問紙を作成し、倫理委員会の承認を得た。その後、これまでに災害が発生した地域で、支援活動を実施された方々・施設長への協力依頼書を郵送し、同意が得られた対象に調査のための調整を行った。感染症専門看護師、保健師の調査協力員を増員し、1.台風12号による和歌山県・奈良県南部の水災害, 2.2011年3月11日東日本大震災・津波(魚沼・気仙沼・柏崎), 3.新潟中越地震・新潟中越地震, 4.阪神・淡路大地震, 5.西方沖地震,を対象として、各被災地で直接支援活動をされた看護師・保健師に直接インタビューによるヒアリングを行った。インタビューが困難な地域においては、保健所の記録物、写真、などを資料として収集した。現在、ICレコーダーに録音したヒラリング内容を、逐語録に起こし、感染症を中心として分析を行っている。 これまでのインタビューでは、被災地で発症した感染症に、ノロウイルス,インフルエンザ,上気道感染症,水痘があり、特にノロウイルスの発生が高い頻度で認められた。これらは、すべてライフラインがストップしたことによる衛生環境の低下が原因であり、概ねは、隔離、手指衛生指導、食品管理、トイレ整備、トリアージなどにより対応されていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年3月11日の東日本大震災・大津波・原子力爆発事故等の影響で、当該災害が広域で巨大であったため、過去の被災地(避難所)支援者の多くが支援活動中であり、研究倫理の面からも調査を実施すべき時期ではないと判断したため、調査調整の時期が遅れる結果となった。当然、当該災害への調査も必要であるが、研究のための調査には一定の期間が必要であった。
|
今後の研究の推進方策 |
災害時における感染症危機管理ガイラインの作成に当たり、未曾有の平成23年3月11日東日本大震災・津波災害は、広域で大規模であり、これまでの生き残るための72時間の備えや災害サイクル、被災地の支援体制などを大きく塗り替える結果になった。日本におけるこうした経験は貴重であり、今後に生かしていくべき内容を含んでいるため、当初の本研究課題の遂行に並行して、東日本大震災の今後の感染症への影響については、継続して、長期的にさらに全般的に情報収集を推進し、ガイドラインへ追加・修正する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
災害時の感染制御ガイドラインを作成する。1)東日本大震災の影響で遅れている過去の被災地での感染症・公衆衛生に関連した情報の聞き取り調査を継続する。調査にあたっての交通費・謝品・逐語録の作成費用(謝金)が必要となる。2)研究分担・協力者が各専門分野の視点で、多方面からその要因と制御法などガイドラインに必要な要素を協議する(全員)。全ての災害サイクルにおける課題について、少なくとも3回の協議会を設定し、より具体的な方略を策定する為、各メンバーの交通費・会議費等を必要とする。3)必要に応じて企業の危機管理に関するスペシャリストあるいは保健行政等のスペシャリスト、災害医療のスペシャリストに研究協力を依頼するため、謝金・交通費等を必要とする。
|