研究課題/領域番号 |
23593425
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
牛久保 美津子 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (90213412)
|
研究分担者 |
飯田 苗恵 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (80272269)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
キーワード | ALS / 終末期 / 在宅 / 訪問看護 / 看取り |
研究概要 |
医療費の高騰化や適正入院による在院日数の短縮化などにより、在宅医療が推進される今日であるが、我が国の病院死亡率は、依然として全死亡の約8割を占めており、諸外国に比べてかなり高率である。超高齢・多死社会の到来のため、国は病院以外での看取りを積極的に推進している。難病中の難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)であっても、本人と家族が住み慣れた自宅で最期を迎えたいという希望があればそれをかなえられるよう、またこれ以上の医療処置を受けることを臨まないという意思決定を下している患者・家族には、在宅死が平和的に迎えられるように、ALSの在宅終末期ケアを開発する必要がある。そのためには、ALSの死亡状況を明らかにする必要があるが、世界的に見ても、フランスやオランダ、イギリス、アメリカ、中国からの報告があるに過ぎない。文化的背景が異なる日本における調査が必要である。本研究は、先行研究とは違い、訪問看護の立場から、ALSの終末期と死亡時の状況を明らかにしようと考えた。 本年度の調査は、訪問看護を利用する在宅ALS療養者の死亡状況を明らかにすることを目的として、郵送法による質問票調査を実施した。対象は、関東地区6県の訪問看護ステーション約700カ所の管理者とした。232通が回収された。死亡したALS患者49名に関する終末期の状況、ならびに終末期支援における訪問看護師が経験した困難点について、データ収集がされた。また、これら患者の数名に関して、担当の訪問看護師を対象に、在宅ALS患者の臨死期の状態と看護支援の実態を把握する面接調査を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質問票調査は、集計が済み、現在、分析作業を行っており、順調である。しかし、終末期にあるALS患者を利用者にもつ訪問看護ステーションとの勉強会は、対象患者が頓死したり、訪問看護ステーション側が多忙との理由で協力が得られず、未実施であり、この点が予定より遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
1)質問票調査結果に関しては、分析作業を続行し、学会発表ならびに論文作成の予定である。2)訪問看護ステーションとの個別勉強会は、対象患者の発生を待たないとならず、予測が立てにくい。そのため、今年度の日本難病看護学会の学術集会長の理解と協力を得て、学術集会のプレセミナーとして、8月に総論的なALS終末期ケアについての勉強会を実施する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
海外の国際学会にて研究発表をする予定であったが、演題申し込み期限に間に合わなかったため、外国出張は次年度に見送る計画とした。また、購入希望の医療機材が、品切れのため、次年度に購入することとした。1.研究成果発表のための海外出張旅費および参加登録費(第7回世界緩和ケア会議、 ノルウェイ)約35万円 2.研究成果発表のための国内出張旅費および参加費 約10万円 3.情報収集のための学会参加旅費および参加費 約10万円 4.死亡状況を把握するための面接調査のための旅費 約1万円 5.テープ反訳料 10万円 6.論文英訳料 20万円 7.呼吸機能関連の機材等 20万円 8.モバイルパソコン 20万円9.ほか、文房具や人件費等
|