研究課題/領域番号 |
23593425
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
牛久保 美津子 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (90213412)
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研究分担者 |
飯田 苗恵 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (80272269)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 在宅ケア / 終末期ケア / 事前意思確認書 / 在宅死 / 病院死 |
研究概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、原因不明で治療法が未確立の難病であり、病状の悪化進行を特徴とする。病状進行に伴って生じる呼吸不全に対して人工呼吸器を装着しない場合には、患者の生存期間は約2~5年と言われている。病気をかかえながら前向きに生きるための支援やQOLを高めるための支援と同時に、終末期を視野に入れた支援の提供が求められる。 在宅終末期ケアを開発するにあたり、昨年度は訪問看護を利用した在宅療養のうえ、死亡したALS療養者の死亡状況を明らかにする質問票調査を実施した。今年度はこの調査の結果のまとめを行った。対象は、関東地区6県の訪問看護ステーション709ヵ所の管理者に郵送法による質問票調査を実施し、232通(回収率32.9%)が回収され、49事例のALS死亡状況についての回答が得られた。結果、死因は他の文献と同様に、呼吸不全が最多であったが、心疾患やがんによるものが数例みられた。急変・頓死が約5割を占めていた。麻薬が使用されたのは3例のみであった。アセスメントや緩和ケアの充実が必要であることが示唆された。 加えて、この質問票調査により把握された、死亡したALS療養者を支援し、かつ面接調査の協力に同意の得られた訪問看護ステーションの担当訪問看護師もしくは管理者を対象にして、死亡状況の詳細を明らかにするための面接調査を実施した。対象は関東地域4県の11ヵ所の訪問看護ステーションであり、14名の死亡事例についてデータ収集を行った。14名の死亡場所は、6例が自宅、8例が病院であった。面接調査結果は現在、分析中である。 さらに、終末期ケアにあたっては、療養者と家族の呼吸処置に対する意思決定が重要であるとのエビデンスから、事前意思確認書を作成し、意思決定支援を円滑にするためのツールとして、A大学病院の臨床実践に導入した。その導入による成果については、今後まとめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
在宅終末期ケアの実態を明らかにするための質問票調査および面接調査は順調に遂行でき、学会発表や論文化も行えている。しかし、筋萎縮性側索硬化症療養者の数が少ない上、突然死や急死例が多くタイミングがつかめないことや、療養場所の変更や、受診先の変更などの理由で、対象となる事例が得られず、アクション(担当の訪問看護ステーション看護師への教育)が行えていない点がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は2年目である。2年間のうち、アクションが行えたのは1例であるが、支援者が多忙のため、調査を実施できなかった。そのため、今後の予定として、アクションの対象となる療養者が発生することを待つことに平行して、既存の文献を調査し、在宅終末期ケアに求められる事柄をまとめること、そのまとめた事柄について、神経難病の支援を積極的に行っている訪問看護ステーションを対象にした調査を行うなどの検討をすすめていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費で未使用となった分は、年度内の使い切りはせず、平成25年度の研究費とあわせて使用することとした。使用内訳は以下の通り予定している。 英文和訳・校正料:20万円、掲載料:10万円、旅費:24万円、学会参会費:10万円、文具類:17万円、医療機器(指導用テストラング・吸引器) 4万円 など。
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