研究課題/領域番号 |
23593425
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
牛久保 美津子 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (90213412)
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研究分担者 |
飯田 苗恵 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (80272269)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 終末期ケア / 看取り / 在宅ケア |
研究概要 |
3年目の本年度は、終末期にある筋萎縮性側索硬化症者(ALS)の在宅終末期ケアから看取りまでのケアを検討するにあたり、前年の調査結果をまとめて、国際学会発表と英語論文として成果発表を行った。また本学附属病院にて事前意思確認書の導入がはかれたことから、導入から9か月間の実施状況をもとに、アウトカム評価を行い、その運用方法について提言内容をまとめて学会発表を行った。県内数カ所の病院より、問い合わせがあり、その病院での運用の検討が行われた。また、療養過程では、最期まで食べたいという気持ちに寄り添えるよう、摂食・嚥下認定看護師との協働を行い、その活動について学会発表した。 また、終末期ケアを検討するにあたっては、本人と家族の呼吸処置に対する意思決定が重要であるため、意思決定支援のための有効ツールとして事前意思確認書の導入の必要性、ならびに頓死(死期の予測が困難)が多い事実が明らかとなったことをふまえて、本年度は、病状急変に対するALS患者・家族の認識と緊急入院経験者から緊急時対応の状況を明らかにする質問票調査を実施した。質問票は42例より回収され(回収率56%)、うち15名が緊急入院を経験していた。現在は集計・分析中であるが、終末期ケアの考え方には、病状の受け入れが大きく影響していることが考えられた。 さらに、日本難病看護学会学術集会にて、終末期ケアに関するセッションを担当し、人工呼吸器不装着で死亡されたALS患者の訪問看護の立場からの事例発表を行い、聴取者と意見交換を行い、学会誌に報告をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、アクションリサーチの対象候補者として1名が見つかり、二酸化炭素濃度の測定等を行うなど地域医療者への支援を開始したが、患者本人の状況否定があったため、研究対象とすることができなかった。この事例は、非常に緩やかな悪化進行(7年間)のうえ、気管切開までの呼吸管理を受け入れたがそれ以上は望まず、自宅で最期を迎えられた。ALSの死後予測は非常に困難であり、アクションリサーチを行うことに非常に困難をきわめる。
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今後の研究の推進方策 |
訪問看護師との意見交換では、NPPV装着者の終末期ケアが困難であるとの結果から、今年度は、NPPVまでの呼吸管理のうえ、病院死をしたALS患者を対象にして、身体的苦痛・死因や看護ケア上の問題点を明らかにし、ケア方法を検討する予定である。それと同時に、呼吸管理について何もしない、NPPV処置、TPPVの処置の3パターンに分類し、訪問看護のエキスパートによる会議、ならびに研究成果、文献検討をふまえ、ALSの終末期ケアについて明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際学会への演題申し込みのため、抄録の英文翻訳・校正をする予定でいたが、日程の都合がつかなくなり、参加ができないことが判明した。そのため、年度内の使用は見合わせ、次年度に使用することとした。 平成25年度分の研究費で未使用となった分は、平成26年度の研究費と合わせて使用することとする。英文和訳・校正料 15万円、海外出張 18万円 国内出張 8万円 学会参加費 7万円 謝礼3万円 会議費 2万円
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