研究課題/領域番号 |
23593430
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
河村 一海 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50251963)
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研究分担者 |
長谷川 雅美 金沢大学, 保健学系, 教授 (50293808)
長田 恭子 金沢大学, 保健学系, 助教 (60345634)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 女性アルコール依存症者 / 断酒継続プログラム / 認知行動療法 / 死への転帰の予防 |
研究概要 |
本年度は女性アルコール依存症者が女性のみのメンバーで構成されるAlcoholics Anonymousミーティング(以下AA)に参加することで、どのように気持ちの変化が生じたかを明らかにし、アルコール依存症からのうつ状態への移行を予防するための知見を得ることに取り組んだ。 その結果、女性アルコール依存症者が断酒できていることの流れは「」で示すカテゴリーによって構成されていた。以下ストーリーラインで示すと、対象者は「ミーティングの場に女性だけしかいないことでの安堵感」や「女性のアルコール依存症者は自分だけではないという安堵感」を感じ、「同性であるがゆえに自分の体験をわかってもらえたという満足感」を感じていた。そして「女性を守るためにも女性ミーティングの数が増え、ずっと続いていくことが必要だと思う」「主婦であることで飲酒機会がないことが断酒に幸いしていると思う」「夫が自分の目の前で飲酒しても気にならなくなった」と語っていた。そして「AAに参加している女性メンバーに自分は随分助けてもらったと感じている」との思いから、さらに「アルコール依存で苦しんでいる女性メンバーをAAに誘う」という行動を起こしていた。そして「女性ミーティングに参加し続けることで気持ちの落ち込みを予防し、うつ状態になるのを防いでいると感じる」と語っていた。 以上より、女性アルコール依存症者が女性のみのAAに参加することでアルコール依存症である自分に対するマイナスな気持ちに変化が生じ、自分の存在に対する不安感が軽減され、自分の思いをわかってもらえたという満足感が得られた。また他者へも関心を向けることができるようになり、他者をミーティングに誘うという積極的な行動もとれるようになり、アルコール依存症者が陥りやすいうつ状態への移行を予防できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた、研究対象者との信頼関係を形成し、研究参加の同意をとることができ、ほぼ予定していた人数の研究対象者へのインタビューを実地し、その内容を分析、特徴を導き出すことができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られたデータを参考に「女性アルコール依存症者の断酒継続につながる思いについての質問紙」を作成し、それを活用することで断酒継続できていない女性アルコール依存症者への介入プログラムを開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に当該研究費が生じた状況については、当初購入を計画していた機器の販売が大幅に遅れてしまったため、計画していた機器よりも安価な機器を購入したこと、また、研究打ち合わせの際に相手側との予定が合わなかったことや天候不良(大雪等)によりやむを得ず出張を中止したことによる。 平成24年度は作成した質問紙の内容確認のため、研究対象者が指定した場所へ出向くための調査研究旅費、アルコール依存症についての専門的知識の提供者との研究打ち合わせ旅費および成果発表のための旅費、専門的知識提供者への謝金、研究補助のための作業依頼の謝金等を計画している。
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