研究課題/領域番号 |
23593435
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
河野 由理 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50363916)
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キーワード | 精神看護 / 発達障害 / 地域ケア / 他職種連携 |
研究概要 |
平成24年度は、発達障害児(者)の早期退院へ向けたケア、および地域生活を維持していく上で関わる精神科外来や小児科外来、保健、福祉、教育などの専門職による発達障害児(者)やその家族への関わり、並びに専門職間の連携の実際と課題について、国内および海外の先行研究について幅広く文献レビューを行った。そのなかで、医療機関に入院している発達障害児(者)の事例研究、地域における発達障害児(者)や家族への介入と課題、発達障害児(者)の家族の医療、保健、教育の各機関との関わりにおける体験、ニーズなどについての研究、および関係機関の連携に関する知見は全体的に数が少なく、それらの課題が多い現状が明らかになった。 また、小学校の通常の学級の担任教師を対象とした、これまでに担任として関わった発達障害のある児童の事例に基づいた半構造化インタビュー調査を基に、研究目的に沿ってさらに検討を進めた。その結果、担任教師が発達障害の特徴がみられる児童が増えていると感じる現状があり、発達障害のある児童の特徴を理解してクラスの中で学習やクラスメイトとの関係への介入など様々な関わりを行っていることが明らかになった。また、学校と家で発達障害のある児童に共通した対応になるように、その保護者と児童の特徴や関わりに関して電話や連絡帳で連絡をとりながら、家庭訪問の機会なども活用して情報共有を行っており、それらの関わりから、保護者が児童の医療機関への受診を考えるようになっていた。しかしながら、専門の医療機関が少ない地域もあり、受診待ちの期間が数カ月に及ぶ状況もみられた。受診後に、担任教師が保護者を通して主治医からの指示を聞く際に、医療機関と教師が直接情報交換できる体制がないため、対応で悩む場面もみられるなど、学校と保護者、関連する専門機関の間の連携の現状と課題が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、発達障害児(者)の早期退院および社会生活における適応へ向けた支援について、精神科におけるケア、並びに保健、医療、福祉、教育などの他の専門職との連携のあり方を多角的に検討することを目的としている。そのなかで本年度は、それらに関する国内、海外の先行研究について幅広く文献レビューを行い、入院、外来などの医療、保健、福祉、教育機関などにおける発達障害児(者)およびその家族へのケア、並びに保健、医療、福祉、教育に関わる他の専門職との連携に関する研究の現状を明らかにした。また、小学校の通常の学級に在籍している発達障害のある児童が学校で適応していく過程とともに、担任教師とその保護者の間の情報共有、連携や、医療機関への受診に至る過程、並びにその後の医療機関との情報交換の現状と課題などが明らかになり、得られた知見を論文としてまとめる作業を進めているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究は、現在のところおおむね順調に進展している状況であり、研究計画に沿って、精神科病棟における発達障害児(者)の早期退院および社会生活への適応に向けたケアについて調査を進め、国内および海外における発達障害児(者)の早期退院や社会生活に関わるケアについて情報を収集していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費を使用して、研究計画に沿って、精神科病棟における発達障害児(者)の早期退院や社会生活に関わるケア、並びに保健、医療、福祉、教育に関わる他の専門職間の連携について調査を進め、国内および海外の発達障害児(者)のそれらに関する現状について情報収集を行う。
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