研究課題/領域番号 |
23593439
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
永井 眞由美 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (10274060)
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研究分担者 |
東 清巳 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (90295113)
宗正 みゆき 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (40309993)
木子 莉瑛 熊本大学, 生命科学研究部, 講師 (40253710)
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キーワード | 高齢介護者 / 心理・社会的孤立 / アセスメント / 支援モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、在宅で高齢者を介護している高齢介護者の心理・社会的孤立予防のためのアセスメント方法と支援モデルを開発することである。平成23年度は、高齢介護者の心理・社会的孤立に関する実態を明らかにすることを目的として、広島県・熊本県内の訪問看護師と高齢介護者を対象に自記式質問紙調査を行った。 平成24年度は、平成23年度の結果を踏まえて、高齢介護者の心理・社会的孤立に関わった経験を有する訪問看護師のアセスメント視点と支援方略を明らかにすることを目的として、広島県内の訪問看護師10名、熊本県内の訪問看護師10名を対象に半構成的面接調査を行った。面接内容は、心理・社会的孤立発生のメカニズム、アセスメントの視点、支援内容である。対象者の許可を得て録音し、質的データ分析方法を用いて分析した。その結果、訪問看護師の心理・社会的孤立のアセスメント視点には、被介護者に関する事項として基本属性、性格、サービス利用態度、疾患、コミュニケーション障害、医療依存度等、介護者に関する事項として基本属性、性格、サービス利用態度、疾患の理解、健康状況、相談相手、生活スタイル等、環境に関する事項として家族関係、支援者、近隣・地域関係、社会参加状況等があった。心理・社会的孤立に対する訪問看護師の支援方略としては、介護者への心理的支援、サービスの導入による介護負担の軽減と自由時間の確保、家族関係の調整、学習支援(介護体制、疾患の理解、病状観察、生活習慣等)、社会参加へのサポート、関係職種間の連携と支援チーム体制の構築、地域における訪問看護ステーションとしての相談体制の確立等があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目標は、在宅で高齢者を介護している高齢介護者の心理・社会的孤立予防・支援のためのアセスメント方法と支援モデルを3年間で開発することである。平成23年度は高齢介護者の心理・社会的孤立に関する実態を明らかにすることを目標として、広島県・熊本県の訪問看護師と高齢介護者を対象として質問紙調査を実施した。平成24年度は、高齢介護者の心理・社会的孤立予防・支援に関わった経験を有する訪問看護師の、心理・社会的孤立に関するアセスメント視点と支援方略を明らかにすることを目標とし、広島県・熊本県の訪問看護師20名を対象に半構成的面接調査を計画どおり実施した。面接逐語録の分析は概ねできているが、質的データの詳細な分析には時間を要するため、今後も分析を継続していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は3年計画の最終年度にあたり、以下のとおり研究を推進する。 研究目的:「高齢介護者の心理・社会的孤立予防・支援モデル」を作成し、その妥当性を検討する。 研究方法:①平成23年度・24年度の調査結果をもとに「高齢介護者の心理・社会的孤立予防・支援モデル」を作成する。モデルは、心理・社会的孤立を発見するためのアセスメント視点を含むものとする。②①で作成したモデルについて、訪問看護師・ケアマネジャーおよび地域包括支援センター保健師によるフォーカル・グループインタビューを行い、その妥当性を検討する。インタビューで語られた内容は対象者の許可を得て録音し、質的データ分析方法を用いて分析する。③最終的に作成したモデルに基づき、訪問看護師やケアマネジャーが「高齢介護者の心理・社会的孤立予防・支援」に関して取り組むための教材を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費の使用計画は下記のとおりとする。 〔物品費〕フォーカス・グループインタビューの実施にあたり、「高齢介護者の心理・社会的孤立予防・支援モデル」の案を参加者に紙媒体及び映像で提示するため、プロジェクター・モバイルタイプを購入する。〔国内旅費〕広島県・熊本県の共同研究者の研究打合せ旅費(2回程度)、研究成果発表旅費、研究対象者との打ち合わせを行うための旅費として使用する。〔謝金等〕フォーカス・グループインタビューに参加する訪問看護師・ケアマネジャー・保健師への謝金、資料整理及び研究報告書作成に関わる研究補助者への謝金として使用する。〔その他〕フォーカス・グループインタビューのテープ起こし費用、「高齢介護者の心理・社会的孤立予防・支援」の教材作成費用、各施設との通信費、学会誌投稿料として使用する。
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