研究課題/領域番号 |
23593440
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
友竹 正人 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50294682)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 神経性無食欲症 / 摂食障害 |
研究概要 |
平成23年度は国内外の文献を詳細に検討し、治療動機を高めるための課題について調査した。その結果、今回作成するオリジナルのワークシートに含めるべき課題として、(1)変化の段階を自己評定するための課題、つまり、現状を変えることの重要性の認識とそれに成功できるという自信についてスケールを用いて評価する課題、(2)摂食障害について心理教育的に介入しながら身体リスクについて検討する課題、(3)「摂食障害の心」と「健康な心」のイメージを外在化してそれぞれの体験を分類し、摂食障害についてのイメージを共有する課題、(4)バランスシートを作成し、現状を維持した場合の利益と不利益、変化を起こした場合の利益と不利益について検討する課題、(5)幸福感について検討し、自分にとって大切なものや摂食障害によってそれらがどのように変わったかを検討する課題、(6)将来に目を向けるために、将来どのようになりたいかということと現状を維持した場合にそれらが達成できるかどうかを検討する課題、(7)患者の持つ価値観に焦点を当てて、現状との矛盾に気づかせる課題、(8)治療目標の確認と明確化を行う課題、(9)人的資源の探索として、重要他者を再度認識する課題、などが候補として考えられた。現在、それらの内容を検討しつつワークシートを作成している途中である。また、過去5年間の神経性無食欲症の入院患者の治療内容を調査し、動機づけのための心理的介入が困難な要因として自閉症スペクトラム障害の合併があげられること、入院中の体重増加は3~5kg程度を目標にすることが現実的であること、動機づけが高まっても飢餓状態からの急な栄養摂取は再栄養症候群のリスクが高くなることを確認した。平成24年度はこれまでの調査を踏まえた上で、実際的な内容のワークシートを完成させ、使用できるように準備を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外の関連文献を検討しているが、神経性無食欲症の動機づけのための課題は予想以上に様々であり、本研究で開発するオリジナルのワークシートに組み込む動機づけ課題の選定と検討に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討で候補に挙がっている動機づけのための課題をさらに検討し、オリジナルのワークシートの開発を進めて行く。ワークシートが開発できれば、実際の使用を円滑に進める目的で、治療者用のワークシート使用ガイドも作成する。その後、神経性無食欲症の患者を対象に、ワークシートの有効性を検討するための研究実施に取り掛かる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
神経性無食欲症の患者の治療について、さらに情報を収集するために、旅費を使って、国内外の学会に参加する予定である。また、研究を円滑に進めて行くために、謝金を使って臨床心理士を研究補助の目的で雇う予定である。
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