研究課題/領域番号 |
23593442
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田中 久美子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00342296)
|
研究分担者 |
陶山 啓子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50214713)
形上 五月 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40549317)
人見 裕江 近大姫路大学, 看護学部, 教授 (30259593)
小岡 亜希子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50444758)
|
キーワード | 在宅要介護高齢者 / 尿失禁 / 排泄行動能力 / 介護力 |
研究概要 |
目的は、尿失禁を有する在宅要介護高齢者(以下、高齢者)の排尿方法の現状と排尿方法の違いに関連する要因を明らかにすることである。対象は、A県内で介護保険を利用し尿失禁を有する65歳以上の高齢者とその家族介護者(60歳以上)。高齢者は座位保持が不可能なものは除外した。期間は、平成24年9月~12月。方法は、研究者が対象者宅を訪問し質問紙による聞き取り調査とした。結果、高齢者の平均年齢は84.5歳(±7.8)、性別は男性8名、女性9名であった。介護者の平均年齢は、73.9歳(±8.2)、性別は男性4名、女性13名であった。高齢者の 排尿方法は「おむつ」のみが7名、「トイレとおむつ」が10名で、おむつ交換のタイミングは「定期的である」が13名、「随時である」が3名であった。排尿方法が「おむつ」のみの7名は定期的におむつ交換を受けていた。一方、高齢者の排泄行動は、尿意が「ある」は11名、「ない」は6名、移動と移乗はそれぞれ「自立・一部介助」が13名、「全介助」が4名、座位姿勢保持は「自立・一部介助」が15名、「全介助」が2名であった。トイレでの排泄の有無と介護者に関する要因との関連では、副介護者の有無、受診の有無、仕事の有無、排泄の価値観などの項目においても有意差は認められなかった。トイレでの排泄の有無と高齢者の排泄行動では、尿意の有無、座位姿勢保持では有意差はなく「移動・移乗」において有意差が認められ能力の高いものがトイレでの排尿を行っていた。また、おむつ交換のタイミングと各項目の関連をみた結果、介護者および高齢者いずれにおいても関連は認められなかった。尿意が「ある」11名のうち7名は定期的におむつ交換を受けていた。トイレでの排泄を継続するためには、高齢者の移動動作が重要であることが推察され、尿意や動作能力があっても高齢者の持てる力が発揮された排尿が実施されていない現状が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は、尿失禁を有する在宅要介護高齢者(以下、高齢者)の排尿方法の現状と排尿方法の違いに関連する要因を明らかにすることを目的とした調査を実施するために、質問紙をを作成した。質問紙の作成においては、高齢者の現在の排尿状況を質問することによって、尿失禁の状態が大まかに分類できるように工夫した。また、今回の調査において重要な介護力を質問する項目では、文献をもとに内容を検討し共同研究者からも意見をもらい質問項目を精選した。24年9月から質問紙による聞き取り調査を実施しており17組の対象者から回答を得ることができた。現在までの回答結果からは、高齢者の移動動作が重要であることが推察され、尿意や動作能力があっても高齢者の持てる力が発揮された排尿が実施されていない現状が示された。現在も聞き取り調査は継続しており、おおむね順調に進んでいると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度は、前年度に引き続き質問紙による聞き取り調査を実施し、対象者数を増やし研究結果の精度をあげていきたいと考えている。さらに、調査の同意が得られた施設において、定期的にショートステイやデイサービス、デイケアを利用し、尿失禁を有する在宅要介護高齢者の排泄状態をアセスメントし尿失禁の原因を明らかにし、必要な援助方法を考察する計画である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
25年度は、引き続き訪問による聞き取り調査を継続する予定である。訪問先はA県下全域になる。そのため、申請代表者や共同研究者が対象者宅へ訪問するための交通費が必要になる。また、研究が円滑に進められるようにするとともに、得られた情報は個別にその都度入力できるようにパソコン、プリンターなどを携帯する予定であり、これらの物品について購入する予定である。
|